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新医療センター整備計画最終案に奥州市議の複数が慎重論、倉成市長は推進姿勢崩さず
奥州市議会は19日、市役所本庁で全員協議会を開き、市が進める新医療センター整備計画の中間案から最終案に向けた修正内容について、市側に説明を求めた。市議からは計画への慎重論や疑問の声が上がった。
中西秀俊氏(奥和会)は「課題が多く、軽い判断では済まされない」と述べ、白紙撤回を含めた再考の必要性に言及。「必要なのは、住民が納得し安心して頼れる医療体制。時に立ち止まる判断も必要だ。分断を越え、合意と理解を積み重ねる道をつくるべきだ」と訴えた。
新病院に併設するコミュニティー施設の是非については、及川佐氏(奥州みらい)が「そもそも建設の是非は根本的な問題。ここに疑問の声が出ること自体、議論が深まったとは言えない」と指摘した。
広野富男氏(奥州みらい)は、疑問や不安に対する対応方針として、市が「基本設計の段階でさらに検証する」と挙げている点について、「建てるという前提に立った段階で、検証や計画の変更はできるものなのか」と疑問を投げかけた。
倉成淳市長は「今、判断して将来に向かわなければ大変なことになる。責任を持って進めていく」と述べ、計画推進の方針を改めて強調した。
市は、25日まで行われる市議会教育厚生常任委員会での請願審査を踏まえ、26日に庁内協議を行い、同日中に開く市議会全員協議会で方針を説明する予定。市と議会の対応に注目が集まっている。
市議会では昨年9月、市民団体から提出された「新医療センター整備をより慎重に進めることを求める請願」を巡り、同常任委の審査では賛否が同数となり、委員長の反対票によって不採択に。本会議でも11人が請願に賛成したが、最終的に不採択となった経緯がある。
パブコメに103件
奥州市は、新医療センター整備基本計画(案)に対して実施したパブリックコメント(意見公募)に、計103件の意見が寄せられたと公表した。医師確保や財政面への懸念、建設場所の見直しを求める声もあったが、市は「改めて取り入れるべきものはなかった」とした。一方、早期実現を求める意見もあった。
意見は、市内在住・在勤・在学の37人から寄せられた。うち「計画に反映させない」ものに分類された意見は16件、「計画に同様の趣旨あるいは記載済み」としたものが22件、「要望や意見、感想など」が65件。計画の骨格そのものに反映された意見はゼロで、理由について市は「多くの意見は計画内容への具体的な提案ではなく、『建てるべきかどうか』といった議論の入り口に関するものだった」と説明している。
一方で、「まだ議論が足りない」とする声については、 (1)在宅医療体制強化の方向性の追加 (2)疑問や不安を基本設計の段階ごとに払拭する旨の明記 (3)市内医療施設の最適化に外部医療関係者を関与させることの明記――を最終案に追加する形で修正を加えたという。
提出された意見には、医療圏全体での病院機能の見直しや地域医療連携法人の設立提案、設計段階での市民参画や第三者委員会の設置要望なども含まれていた。これらについて市は「重要な視点」としつつ、「具体的な設計段階で検討する」「ご意見の趣旨を参考にする」といった対応にとどめた。
提出された意見の多くが「参考にする」などとされた一方で、計画自体への修正は加えられなかった。
実施結果は、市ホームページ(ID 16333)で公開されている。