TOPIC

今野桃果選手(水沢) 夢の舞台へ駆ける デフリンピック陸上競技出場へ

今野桃果選手(水沢) 夢の舞台へ駆ける デフリンピック陸上競技出場へ

今野桃果選手(水沢) 夢の舞台へ駆ける デフリンピック陸上競技出場へ
恩師の白藤友一さん(左)の指導を受け、11月のデフリンピックに出場する今野桃果選手

 聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会「東京2025デフリンピック」(11月15|26日)に、水沢の今野桃果選手(18)∥Step Up IWATE所属∥が陸上競技の女子200㍍走と4×100㍍リレーに出場する。大会本番まで3カ月に迫り、夢の舞台で自己ベスト更新を目指す今野選手は、「最後まで諦めず走り切る」と意気込んでいる。

 デフリンピックは、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催し、4年ごとに行われる。今回が100周年の記念大会で、日本では初開催。選手約3000人のほか、役員や審判、スタッフ含め約6000人が参加する。
 3歳の頃に検査で聴覚に障害があることが分かった今野選手。小学6年生時に陸上記録会に出場したのをきっかけとして、本格的に陸上競技を始めた。3月の盛岡聴覚支援学校高等部卒業後は、胆沢のデサントアパレル水沢工場に勤めながら、デフリンピック出場を目標に掲げ競技経験を積み重ねてきた。
 選手選考が行われた5月の日本デフ陸上競技選手権大会で、100㍍3位、200㍍2位と好成績を収め、念願のデフリンピック出場権を勝ち取った今野選手。「うれしさよりもびっくりした」と笑顔で振り返る。
 今月9日、今野選手は金ケ崎町の森山総合公園陸上競技場で大会に向け汗を流していた。盛岡聴覚支援学校在籍時の恩師で、現在は花巻清風支援学校の指導教諭白藤友一さん(57)が週末を中心に練習をサポートしている。
 白藤さんは「フォームが改善され、しっかりと力を地面に伝えられて加速が良くなっている」と評価。迫る本番に向け、「決勝の舞台に進めさせるのが自分の役目。残り3カ月でどれだけ力を付けていけるか。本番ではリラックスして楽しんで臨んでほしい」と期待する。
 父博教さんと母真弓さんは「目標としていたデフリンピック出場が決まり、家族全員で応援したい。本番までけがをせず、体調も整えて楽しんで走ってほしい」と願う。
 デフ陸上では、号砲に代わり発光ダイオード(LED)の色でスタートを合図するのがルール。今野選手は練習で、課題とするスタートのタイミングや腕の振りなどを入念に確かめながら臨んでいる。
 「初めてのデフリンピックは自己ベストを更新し、メダルを取りたい」と意気込む今野選手。リレーでは第1走者を任される見込みといい、「仲間と支え合いながらしっかりとバトンを渡したい。他の選手や自分に負けないよう集中して走りたい」と気を引き締めている。
 今野選手が出場する陸上競技は、駒沢オリンピック公園運動場陸上競技場などで開催が予定されている。