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農はだて絶やすまい、雪まつりで「庭田植え」(胆沢)

農はだて絶やすまい、雪まつりで「庭田植え」(胆沢)

農はだて絶やすまい、雪まつりで「庭田植え」(胆沢)
田植え唄を歌う佐々木和夫さん(右)と雪に稲を植える所作をする佐々木愛子さん(左から2人目)

 雪が積もった庭を田んぼに見立て、稲わらを植えて秋の豊作を祈願する「庭田植え」。胆沢地域では古くから、農作業の始まりの儀式「農はだて」の一つとして、小正月時期に行われてきた。胆沢の一大イベント「農はだてのつどい」で継承されてきた伝統を絶やすまいと1月31日、胆沢若柳で行われたイベントの開会式で所作と田植え歌が市民らの前で披露された。
 豊作祈願を込め、かつては各家庭で行われてきた「庭田植え」だったが、家庭での実施が見られなくなってきたことも踏まえ、農業文化の継承を願い1990(平成2)年から開催された「農はだてのつどい」の中で再現されてきた。
 しかし、同つどいも人口減少や天候面の影響、資材の調達難といった苦境の中で、25(令和7)年をもって終了した。
 郷土文化を継承してきた行事に幕を下ろす中、同つどいを主催してきた「いさわのまつり実行委員会」は、同つどいの精神を引き継ぐ形での庭田植えの実演を模索。胆沢若柳で行われた「いさわひめかゆ雪まつり」での実演を企画した。
 雪まつりでは、唄を胆沢小山の佐々木和夫さん(80)が担当し、妻の愛子さん(78)が田植えの所作を行った。本格的な再現ではなく唄と所作の披露を短時間行う象徴的なものとなったが、和夫さんはミノやわらぐつを身に着け、愛子さんも早乙女衣装をまとって長さ5m、幅3mほどの特設会場で堂々と再現した。
 演技を終えて和夫さんは、「つどいは終わったが、こういった活動を続けることで、見た子どもたちの記憶の中に残ればうれしい」と話す。愛子さんも「一人での実演は寂しい部分もあるが、昔からの経験を伝えていければ」と未来への継承に向けて決意を示した。