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無人化5年、周辺へにぎわいを(JR六原駅に飲食・雑貨店)

無人化5年、周辺へにぎわいを(JR六原駅に飲食・雑貨店)
飲食・雑貨店が設置される運びとなったJR六原駅舎

 金ケ崎町三ケ尻丹蔵堰のJR六原駅に10月27日、飲食・雑貨店「zakka + café KICHI.」2号店がオープンする。無人駅の有効活用を推進しているJR東日本盛岡支社(大森健史支社長)と、六原駅周辺の活性化を願っていた同店オーナー、朝倉秀佳さん(52)=同町永栄=の思いが一致。5年前に無人化して以降、使われなくなった駅事務室を改装する。駅前では町による駐車場とアクセス道路の新設工事も行われているが、今回の出店は、駅周辺に新たなにぎわいを創出する強力な後押しとなりそうだ。
(児玉直人)

地元事業者が挑戦、来月27日オープン

無人化5年、周辺へにぎわいを(JR六原駅に飲食・雑貨店)
店内のイメージ図(朝倉秀佳さん提供)

 同支社は各地の駅舎について、重要な経営資源であるとともに地域拠点の役割も担っていると認識。持続可能な駅舎の維持管理を実現する手法の一つとして、無人駅などの空きスペースを地元自治体や事業者に譲渡または貸し付けし、有効活用する取り組みを推進している。山田線の上米内駅=盛岡市=や田沢湖線の小岩井駅=滝沢市=などで実績があり、六原駅についても同様の活用方法を見いだせないか、模索していた。
 同支社やJR貨物などによると、現在の六原駅舎は1965(昭和40)年、隣接地に進出した製紙工場への貨車引き込み線を整備するのに伴い、旧駅舎を取り壊して建てられた。鉄筋コンクリート平屋建てで、床面積は271.7平方メートル。貨車の取り扱いは2012年に終了し、その後も駅員は常駐していたが、2019年3月16日に無人化した。
 一方、2016年1月から国道4号三ケ尻交差点前で「zakka + café KICHI.」を営業している朝倉さん。現店舗(1号店)を経営しながら、有志団体「金ケ崎町盛り上げ隊」の代表として、地域振興に力を注いできた。
 学生時代、同駅をよく利用していた朝倉さん。「国道4号が片側2車線に拡幅され活性化されるのに、通り1本入った場所がさびれていくのは嫌だった。2号店を開設することで、あの場所を何とか活性化したいという思いが強くなっていった」という。
 駅舎活用を模索していたJRと、2号店設置により駅周辺をにぎやかにしたいと考えていた朝倉さんの思いが一致。双方の協議が整い、駅事務室部分を貸し付ける形で活用策が決まった。
 同支社は今年4月から改装前の準備工事を進めており、近日中に朝倉さんが発注する内装工事が始まる。切符売り場や改札の窓口だった部分にはカウンター席を設ける。雑貨も取り扱うが、1号店とのすみ分けを図り、鉄道や駅をイメージした商品も考えたいという。1号店は雑貨販売に特化し営業を続ける。
 朝倉さんは「朝晩は通勤・通学の列車利用者に、日中は地域の方々が気軽に集える場になるよう、営業時間をどうするかも含め検討している。起業や事業拡張などで空き店舗を探している経営者もいると思うが、無人駅を活用するというのも一つの案。今回の取り組みが好事例になればうれしい」と話している。