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東日本大震災15年 つなぐ記憶と教訓

東日本大震災15年 つなぐ記憶と教訓

東日本大震災15年 つなぐ記憶と教訓
盛岡市で開かれた県の追悼式で献花する県民

 東日本大震災の発生から15年となった11日、盛岡市では県主催の追悼式行われた。胆江地区でもサイレンが鳴らされ、人々が黙とうをささげた。同地区にとっても、停電や物流停滞など日常生活に大きな影響を与えた大震災。しかし、月日の経過とともに当時の記憶も薄れつつあり、「定期的な振り返り」の大切さを訴える声も聞かれた。

復興への決意 新たに(盛岡で県主催追悼式)

 県の東日本大震災津波追悼式(盛岡広域首長懇談会と共催)は、盛岡市のトーサイクラシックホール岩手(県民会館)大ホールで開かれた。達増拓也知事や県内自治体の首長、政府から牧野京夫復興大臣、県選出国会議員や県議会議長、県議会議員、県内の救助機関、復旧・復興に携わった団体の関係者ら293人が参列。地震が起きた午後2時46分に黙とうをささげ犠牲者を悼み、復興への決意を新たにした。
 「未来へのメッセージ」として、釜石高校2年の森 真心(こころ)さんがステージに登壇。「震災は一瞬で多くの尊い命や日常を奪った。それと同時に、人と人とのつながりやたくさんの教訓を私たちに残した。15年前のきょうから続く時間の中で、私たちは大切な記憶と教訓を胸に、未来へ歩み続ける」と決意を示した。
 達増知事は式辞で「尊い命を失われた一人一人の御霊に、県民を代表し追悼の誠をささげる。災害の大きな犠牲のもとで学んだ教訓を、今後決して忘れることなく次の世代に語り継ぎ、一人一人の大切な人に思いをはせ、ふるさと岩手を築いていくことを誓う」と述べた。
 牧野復興大臣も「生活に密着したインフラの整備はおおむね完了した。被災者の心のケア、水産業と水産加工業の売り上げ回復などには、引き続き取り組む。復興庁として、今後も現場主義を徹底し、被災地の思いを受け止めて地域の復興に全力で取り組む」と追悼の辞を読み上げた。
 式後には参列者が献花を行い、犠牲者を悼んだ。

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来客と笑顔で会話する広野稲子さん

大船渡の女性手芸団体、恒例販売会で交流の輪(水沢)

 大船渡市を中心に活動している「おばちゃん手芸部 願いのハーモニー」(広野稲子代表)は、水沢佐倉河のコープアテルイ(佐々木重基店長)で手芸品販売を実施している。東日本大震災発災日に合わせて行う恒例の出店。月日とともにサークルや関係者を取り巻く環境が変化しながらも、自分たちの「楽しみ」が詰まった品々を今年も店頭に並べている。13日まで。
 震災後の11(平成23)年7月、大船渡市大船渡町にあった永沢仮設住宅と陸前高田市の仮設住宅に入居していた女性12人で活動をスタート。「震災で人生がまったく変わってしまった」という広野代表にとって、「気持ちが落ち着いて、嫌なことも忘れられる癒やしの時間」だったと振り返る。
 自宅再建や災害公営住宅の整備が進み、それぞれの日常へ歩みを進めたメンバーらは、今も自宅で個々に手仕事に励む。委託販売のほかに、広野さんが同店をはじめとして県内各地のイベント会場で販売を重ねてきた。
 今回の出店では、バッグやカード入れなど約300点が並び、行き交う買い物客らが足を止める。毛糸製の帽子を試着し購入する姿も見られ、広野さんは「興味を持って見てくれ、購入してもらえることがうれしい」と話す。
 一方で、地域の復興とともに重ねてきた年月に、サークルメンバーにも変化が。中には他界した人もいるほか、広野さん自身も高齢の家族を介護する生活を送る。
 かつては頻繁に開いていた同店での販売会も、今回は1年ぶりの開催となったが、「生地もたくさんある。まだまだ元気のあるうちは活動を続けたい」と意欲を見せる広野さん。購入者に「3・11のお礼の品です」と手作り小物を手渡し、笑顔で交流の輪を広げている。
 最終日は13時まで。

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東日本大震災からの復興と犠牲者への追悼の思いを込めて行われた合唱コンサート

思い込め歌声 被災地へ(衣川中合唱コンサート)

 衣川中学校(八重畑亘校長、生徒72人)は、東日本大震災からの復興と犠牲者への追悼の思いを込めた合唱コンサートを開いた。全校生徒が心を一つに6曲を合唱。見学に訪れた地域住民ら約50人と共に発災時間には黙とうをささげ、震災の教訓を未来へつないだ。
 震災後に生まれた世代が増える中で、教訓を伝えながら祈りをささげる機会にしようと6回目の開催。校舎正面の外階段に全校生徒が並び、今なお復興に向け活動している県沿岸部や日本各地へ思いを届けようと、堂々歌い上げた。
 在校生のほとんどが震災後に誕生。合唱専門委員長の元島 碧樹(たまき)さん(14)は「震災のことを知らない自分たちだからこそ、合唱のように何らかの形で伝えていこうとする活動が非常に重要だと思う」と恒例になったコンサートの意義を受け止め。同校で毎年取り組んでいる震災教育を振り返り「避難所は集まった人たちで作り上げるもの、という話が印象に残っている。中学生の自分にもできることがあるんだということを、大切に覚えておきたい」と話していた。

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寒風が吹く中、鎮魂の鐘を打ち出す伊藤裕磨・菅生院副住職=江刺南町の光明寺

祈りの鐘 絶やさず(江刺で曹洞宗第五教区主催法要)

 江刺南町の曹洞宗光明寺(佐藤浩昭住職)では、同宗岩手県第五教区(教区長=佐藤住職)主催の東日本大震災物故者追悼法要「祈りの日」が営まれた。大震災発生時刻の午後2時46分に合わせ、同寺の釣り鐘が9回打ち鳴らされ、祈りの響きが岩谷堂中心街に広がった。
 同教区は震災から100日の2011(平成23)6月19日に、同寺で追善法要を営んだ。翌年以降は、毎年3月11日に「祈りの日」を実施している。
 震災発生時刻になると、菅生院=江刺梁川=の伊藤裕磨副住職(37)が釣り鐘を打ち出した。教区長の佐藤住職(57)は「あっという間の15年。復興は進んでいるとはいえ、人々の心は本当に癒えたのか一抹の不安がある。内陸部で、このような形で現在も継続して追悼法要をしている例はほとんどないと思う。関心や記憶が薄れないよう、振り返らなければいけない」と語る。
 今回は教区の僧侶のみで法要を行ったが、来年は十七回忌の年忌法要の年に当たるため、「広く参列いただけるようご案内したい」と話していた。

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亡き人を思い祭壇に花を手向ける出席者ら=陸前高田市(東海新報社提供)

気仙2市で追悼行事

 東日本大震災の発生から15年となった11日、甚大な津波被害に見舞われた気仙2市で追悼行事がそれぞれ行われた。訪れた人々は亡き人の鎮魂を祈るとともに、15年の歳月に思いを寄せた。陸前高田市の追悼式は、高田町の奇跡の一本松ホールで行われた。出席者らは祭壇に白菊を手向け、鎮魂の祈りをささげた。遺族や市職員、来賓ら合わせて190人が参列。国歌斉唱に続き、地震発生時刻の午後2時46分に合わせ、黙とうを行った。
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「祈りのモニュメント」に花を手向けて手を合わせる来訪者=大船渡市(東海新報社提供)

 大船渡市大船渡町のみなと公園内にある「祈りのモニュメント」で、市の震災犠牲者追悼献花が行われた。
 同モニュメントは、市が23(令和5)年度に整備。昨年に続き、来賓を招かず市民らが自由に集う場とし、約100人が訪れた。地震発生時刻の午後2時46分、防災行政無線からのサイレンと、展望広場にある「鎮魂愛の鐘」の音に合わせ、黙とうをささげた。
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