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ILC計画の課題と推進方針説く(KEKの道園理事、江刺で講演)
素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」計画に携わる高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市、浅井祥仁機構長)の道園真一郎理事が1日、奥州市役所江刺総合支所で講演した。計画の推進方法を巡る国内と海外との認識に相違があるなどの課題に触れながら、ILCを「グローバル計画」と呼ばれる新たな国際協力の姿で進めるため、主要国へ理解を求める努力を重ねている現状を説明した。
(児玉直人)
講演会は、奥州市ILC推進連絡協議会(会長・倉成淳市長)の総会に合わせ開催。協議会会員となっている地区振興会や商工業団体の役員、市議、市職員ら約80人が聴講した。
ILC計画がすんなりと進まない問題点として道園理事は、日本と海外とで推進方式に対する認識の違いがあったと説明した。日本の研究者は当初から、海外に大きな負担を求める代わりに、運営や意思決定を共同で行う「グローバル計画」という仕組みで行う方針。しかし海外は、施設建設地の国(または組織)が大きな責任と負担を抱える「インターナショナル計画」で進めるプロジェクトとの認識を持っていた。
道園理事は「認識の差があったことをまずは共有し、グローバル計画で進めることへの理解を得る努力を進めているところだ」と強調した。
講演に先立って行われた総会では、本年度事業計画などを承認。任期満了に伴う新役員の選出も行われ、全員再任(組織統合や会員組織での代表者変更は一部反映)した。役員は次の通り。
▽会長…倉成淳(市長)▽副会長…鎌田卓也(奥州商工会議所会頭)後藤元夫(JA岩手ふるさと会長)▽幹事…三浦真(前沢商工会長)小川節男(JA江刺組合長)高橋健太郎(奥州JC理事長)海鋒守(いわてILC加速器科学推進会議代表幹事)大江昌嗣(イーハトーブ宇宙実践センター理事長)佐藤剛(市国際交流協会長)