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望遠鏡保守 寒空もなんの(天文台水沢)
天文学者や現役大学生、科学の魅力伝える(国立天文台水沢で銀河フェス)
「いわて銀河フェスタ2024」は12日、水沢星ガ丘町の国立天文台水沢キャンパスで開かれた。同天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長をはじめとする天文学者、大学で研究に励む現役学生らが、老若男女の一般市民と交流し、科学の魅力を伝えた。
東京理科大生による「手作り電波望遠鏡」もお目見え
同観測所、奥州市、NPO法人宇宙実践センター、奥州宇宙遊学館で組織する同フェスタ実行委員会が主催。キャンパス自体は日中であれば毎日見学可能だが、電波望遠鏡の内部など常時公開していない施設が見られるほか、観測所の研究者や技術者、遊学館スタッフらも総出で市民を迎える同フェスタは、毎年人気を集めている。
今年は「地域とともに125年」をテーマに開催。人間文化研究創発センターの馬場幸栄准教授と本間所長による講演会では、旧緯度観測所時代から現在に至るまでの歩みを紹介。馬場准教授は「明治に観測所ができた当初から、水沢の人たちは観測所を支える思いやりがあった」と述べた。
屋外では、東京理科大の渡辺凜緒さん(23)が、地球から2万7000光年(1光年=約9.5兆km)も離れた天の川銀河中心部から届く電磁波を手作りの電波望遠鏡でキャッチする体験を子どもたちにさせた。渡辺さんが所属する研究室の山本貴博教授と、本間所長との縁で始めた研究。ホームセンターや通販サイトで仕入れた部材など総工費約3万円で作った装置だ。渡辺さんは「子どもたちにも、科学の魅力を分かりやすく伝えたい」と話していた。
ブラックホールから噴出するジェットの観測などにも用いられる20m㍍電波望遠鏡の見学も大好評。初めて天文台の中に入ったという水沢花園町の公務員、伊藤義之さん(44)は「今までどんな施設なのか知らなかった。子どもの学習に役に立つと感じた」。長男で常盤小3年の壮大君(8)は「アンテナの中にいろいろな機械があってすごかった」と興奮していた。