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「Z項」は地球内部の動き(水沢・宇宙遊学館、大江理事長講演会と企画展)

「Z項」は地球内部の動き(水沢・宇宙遊学館、大江理事長講演会と企画展)
自作模型で地球内部の流体核の動きを説明する大江昌嗣理事長(左手前から2人目)

 水沢星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で企画展「地球大陸の大変動とZ項」が、7月21日まで開かれている。展示に合わせてこのほど、講演会「地球大陸の大変動とZ項」が開かれた。国立天文台名誉教授で、同館を管理するNPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長が講師を務め、大陸の動きとZ項との関係について解説した。

大陸の大変動 関係を解説

「Z項」は地球内部の動き(水沢・宇宙遊学館、大江理事長講演会と企画展)
7月21日まで開かれている企画展「地球大陸の大変動とZ項」

 国立天文台水沢VLBI観測所の前身「水沢緯度観測所」で、初代所長を務めた木村栄博士(1870-1943)が発見した「Z項」。地球の自転軸のふらつき(極運動)に伴う緯度変化を調べる国際研究に携わった木村は、国内外全ての観測地点で緯度変化が大きくなったり、小さくなったりしていることに気付いた。従前の緯度変化の数式に木村博士が加えた新しい項が「Z」だった。
 しかしZ項が何によって生じているのか、木村が存命中に証明することはできなかった。1970年、のちに国立天文台地球回転研究系主幹(7代目所長)となる若生康二郎氏(1927-2011)によって、地球内部の流体核(金属がどろどろにとけた状態のもの)に起因することが判明した。
 大江理事長は流体核の動きが、地上の大陸の動きにどのような影響を与えているのかなどを解説。自作の模型を使って、流体核の動きを分かりやすく説明した。
 企画展では、国際共同により行われた緯度観測の取り組みと木村博士が発見した「Z項」の正体、流体核の中で起きる動きと大陸の変動の関係などについて解説している。開場時間は午前9時から午後5時(最終入館同4時半)。入館料(大人300円、児童生徒150円)のみで観覧できる。火曜日休館。