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ブラックホールの活動期捉える

FCCの動向踏まえ国民的機運醸成に力(岩手県ILC推進本部)

FCCの動向踏まえ国民的機運醸成に力(岩手県ILC推進本部)
県ILC推進本部会議であいさつする達増拓也知事

 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致を目指す県は本年度、国民的な機運醸成を強力に推進し、ILC誘致実現につながる日本政府の前向きな判断を後押しする。欧州合同原子核研究機構(CERN)が計画している次世代円形衝突型加速器(FCC-ee)の動向を踏まえた対応。22日に県庁で開かれた県ILC推進本部(本部長・達増拓也知事)の本年度第1回会議で、具体的な取り組みなどを確認した。
(児玉直人)

 県は昨年4月に、高エネルギー加速器研究機構の山内正則機構長(当時)が超党派国会議連拡大総会で述べた講演などを基に、ILC実現へ向けた流れを把握。同講演では、日本政府の誘致判断のタイミングとして、FCC-eeの実現可能性調査の結論が出る2025(令和7)年が一つのめどになるとの説明があったという。
 県はこのタイミングを重視。これまで実施してきた機運醸成を拡充させ▽著名人や多様な人脈を活用したイベントの開催▽効果的なメディア展開――などで、普及啓発活動を強化する。具体的には、東京大学で7月上旬に開かれる加速器関連の国際会議の場などを活用し、情報発信を行う。
 同本部会議で達増知事は「ILC実現を見据え、全庁挙げてプロジェクトを推進していく必要があり、各部局が一層連携を図ってほしい」と幹部職員に呼びかけた。
 FCC-eeはILCと同様に電子と陽電子を衝突させ、物質に重さを与える素粒子「ヒッグス粒子」を大量に生成できる大型実験施設。フランスとスイスの国境地域に建設する計画だ。ILCが全長約20kmの直線トンネルの中心に検出器を置いて衝突実験を行うのに対し、FCC-eeは周長約90kmの円形地下トンネルに加速器を配置し、円周の途中に配置した検出器で衝突現象を調べる。