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小さくてもすごいぞ! スパコン「アテルイ III 」初公開(国立天文台水沢でフェスタ)

小さくてもすごいぞ! スパコン「アテルイ III 」初公開(国立天文台水沢でフェスタ)

小さくてもすごいぞ! スパコン「アテルイ III 」初公開(国立天文台水沢でフェスタ)
スパコン「アテルイ III」を見学する家族連れ

 「いわて銀河フェスタ2025」は11日、水沢星ガ丘町の国立天文台水沢キャンパスで開かれた。敷地内に設置している天文学専用スーパーコンピューター(スパコン)「アテルイ III(スリー)」を初めて一般公開。高性能ながらコンパクト化が図られたスパコンの姿に驚く人の姿も見られた。観測施設の見学や講演会、実験コーナー、天文関連グッズの販売などもあり、家族連れらが楽しみながら天文学を身近にしていた。

担当教授らが解説

小さくてもすごいぞ! スパコン「アテルイ III 」初公開(国立天文台水沢でフェスタ)
見学者に説明する小久保英一郎教授

 国立天文台水沢VLBI観測所や奥州市、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター、奥州宇宙遊学館で構成する実行委員会が主催。胆江日日新聞社などが後援した。
 今年は「コンピューターの活躍―地球から宇宙へ―」がテーマ。昨年12月から稼働している「アテルイIII」の見学ツアーは、イベント開始から程なくして午前中の整理券がなくなる人気ぶり。稼働開始後初の一般公開とあって、市民の関心の高さがうかがえた。
 同天文台・天文シミュレーションプロジェクトの小久保英一郎教授(57)、滝脇知也准教授(45)が案内役を務め、市民にスパコンの性能などを紹介。スパコンを納入した日本ヒューレット・パッカード合同会社もイベントに協力し、オリジナルグッズをプレゼントした。
 見学した市民からは「電気代はどれくらいかかるか」「停電が起きたらどうする」など素朴な質問も。小久保教授は「省電力化が進んでいるが、それでも年間に7000万円の電気代がかかる。スパコンに限らず、大きなシステムでは無停電装置が作動し、トラブルに対処する時間が確保できる」と答えた。
 過去に運用していた「アテルイ」「アテルイ II(ツー)」を見学したことがある人からは、サイズが小さくなったことに驚きの声も。家族と訪れた水沢南小4年の菊地陽虹さん(10)は「前の機械は大きくて(冷却用の)風もすごかったのを覚えている。小さくなって、風も弱くなっていた」と、本体をじっくり眺めていた。
 小久保教授は「地域の方々も待ちに待ったという感じで、私たちとしても喜んでもらえてうれしい。天文学は望遠鏡がメインのように思われがちだが、現在は望遠鏡とスパコンの両方がないと研究が成り立たない時代で、私たちにとって必要不可欠な道具だ。アテルイ III による研究成果も、もう少ししたら発表できるだろう」と話していた。
 同日は電波望遠鏡を背景にした演舞披露、星空観望会など夜のイベントも計画していたが、天候不順のため中止となった。