火星圏への旅 準備進む(MMX計画、水沢の研究者たちも参加)
ILC計画、経済効果は5兆2026億円(専門家が分析、試算)
社団法人国際経済政策調査会(小柴昌俊会長)主催の講演会「経済面からみた国際リニアコライダー」は6日、水沢区の市文化会館(Zホール)で開かれた。奥州市を含む北上高地が国内有力候補地の一つとなっている大規模実験施設・国際リニアコライダー(ILC)計画。ILCを核とする国際学術都市の経済効果などをシンクタンクの専門家が解説し、市内外から訪れた約700人が関連産業が集積する地域の未来像を思い描いた。
講師は、野村アグリプランニング&アドバイザリーコンサルティング部長の石井良一氏、野村総合研究所経営革新コンサルティング部上席コンサルタントの北村倫夫氏の2人。綿密な分析を基にILCの立地・施設建設による経済効果などについて紹介した。
北村氏によると、研究機能集積地区、住宅地区などで構成する国際科学研究都市の暫定開発面積は約900haが妥当。同研究都市の整備に伴う直接経済効果(初期段階・建設期間10年)は、暫定建設投資額でILC実験施設関連が8000億円、都市整備関連が5800億円とした。
また、研究都市が機能することによる直接経済効果は、ILC関連運営費が年間350億円、立地企業・研究機関などの運営費が117億円、研究者などの消費支出が154億円と試算。研究者と家族、職員も含め約5000人が常駐するという。
波及経済効果は3兆2016億円に上り、立地後10年間の経済効果は直接効果と合わせて5兆2026億円に達すると算出した。
北村氏は、国際科学研究都市を形成するための課題について「ビジョン(構想)を持ち、計画を策定しなければならない。主体をどうするかは重要な問題。研究機関、企業、行政、住民などで構成する国際科学研究都市形成推進機構(仮称)の設立といったシンボリックな組織が必要」と指摘した。
【国際リニアコライダー(ILC)】
あらゆる物質を構成する最小単位の一つ「素粒子」を超高速で衝突させる実験施設。「電子」と「陽電子」の衝突反応や内部構造を調べることで、宇宙や物質の誕生に迫る。
実験場所は山地の地下(標高約100m)に掘られた直線状のトンネル(31-50km)。地上には管理施設や関連研究機関が立地する。建設費8000億円は国際協力で負担される。地域には土木・建築・電気などに直接的効果。メンテナンス企業の張り付きなどによる地元雇用への期待もかかる。
日米欧で建設を目指しているILC。北上高地が有力候補地とされる理由は、地殻震動を受けにくい花こう岩の岩盤が地底に広がっていること、東北最大の都市・仙台市が近郊にあることなど。脊振山地(福岡、佐賀県)も国内候補地といわれ、候補地の国内、国際的な絞り込み方法は未定という。
2012年末までに、ILCの詳細設計が固まる予定。2020年ごろの稼働を目指し、各国の研究者が協議を重ねている