火星圏への旅 準備進む(MMX計画、水沢の研究者たちも参加)
ILCの推進活動「何ら変更ない」(東日本大震災受け、KEK機構長が明言)
大学共同利用機関法人・高エネルギー加速器研究機構(KEK)の鈴木厚人機構長は、東日本大震災による「国際リニアコライダー(ILC)」計画への影響について、「ILC関連の活動については、何ら変更はない」と明言。ただ、KEKの「つくばキャンパス」=茨城県つくば市=敷地内にある実験装置や設備類が被災しており、早期の復旧を目指している。ILCの国内有力候補地には本県の北上高地が挙げられており、達増拓也知事は政府の「復興構想会議」で、復興に向かう象徴的な取り組みの一つとして実現を求めている。
ILCは物質の成り立ちや宇宙の起源などの研究を目的に、世界で1カ所だけに作られる施設。2020(平成32)年ごろの稼働を目指す。肉眼では確認できない電子と陽電子の衝突現象を調べるため、安定した地盤に一直線に掘られたトンネルが必要。国内では北上高地と、九州の脊振山地が候補に挙がっている。
KEKつくばキャンパスでは、ILCに必要な最先端装置の研究と開発が進められている。ところが、今回の地震で実験装置の一部が損壊。電源ケーブルや蛍光灯が落下したほか、精密な装置類も激しい揺れで位置がずれたり、パイプが曲がったりした。
こうした被害があったものの、KEKが今月1日付で発行した定期広報紙「ILC通信」の中で、鈴木機構長は震災によってILC推進活動が変更されるようなことはない――と述べた。来年末までには、装置の詳細に関する報告書の完成が予定されていることから、実験装置類の復旧が直近の最重要課題だと位置付けている。
ILC建設場所の選定時期は未確定だが、完成予定年と建設に要する期間などから逆算し、来年から再来年になるとの見通しもある。
4月23日に都内で開かれた政府の復興構想会議で、達増拓也知事は復興に向かう象徴的な取り組みとして、平泉の世界遺産登録とともに、ILC誘致の実現を掲げた。会議に提示した資料では、北上高地の岩盤は強固であり、その地上部では特に被害も報告されていないことなどを列挙。ILCがつくられる地下は、一般に地上より地震振動が小さいとされることから「地震に強い施設」と強調している。
北上高地への誘致を推進している関係者の一人は「まずは被災地の復旧をしっかりしなくてはいけないが、将来的に東北の復興の柱とする上では大変意義がある。大きな関心を持って対応していきたい」と話している。