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NATMって何だ?(トンネル掘削技術、ILC国内建設に最適)

NATMって何だ?(トンネル掘削技術、ILC国内建設に最適)
胆沢ダムに近い国道397号のトンネルの内壁には、NATM工法で建設したことを示す表記が刻まれている

 北上山地(北上高地)が有力候補地の一つになっている素粒子物理学研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」。地下に30kmから50kmの直線トンネルを掘り建設する大規模な施設だ。そのトンネルの掘削にNATM(ナトム)という工法が浮上してきた。一体、どのような工法なのだろうか?
 NATMは「New Austrian Tunneling Method」の略。日本語で「新オーストリアトンネル工法」となる。ヨーロッパの国・オーストリアで発案されたトンネル工事の方法。1960年代にヨーロッパ各地に広まった。
 ダイナマイトや掘削機械で山の中に穴を開けた直後、コンクリートをすぐに吹き付け、その壁面に「ロックボルト」という長い金属棒を打ち込む。このロックボルトが、トンネル周囲の地中にある岩同士をつなぎ合わせる役割になり、互いが崩れてくるのを防ぐ――とうい仕組み。
 日本ではJR上越新幹線の中山トンネルで初めて採用。複雑で崩れやすい特徴がある日本の地質に適したトンネル工法として、身近な道路のトンネルにも使われている。
 ILCが建設される場所は強固な岩盤がある地下だが、当初、想定していた「トンネルボーリングマシン(TBM)」という工法だと機材自体が高価で、事業コストにも影響するという。NATM工法は、工事に時間はかかるものの、スケジュールの工夫によりTBMより短くすることが可能なことが判明し、日本に建設される場合の最適工法として採用された。