TOPIC

さらばジャンボ鉄鍋(奥州市、30年にわたりグルメまつりで芋の子汁調理)

さらばジャンボ鉄鍋(奥州市、30年にわたりグルメまつりで芋の子汁調理)

さらばジャンボ鉄鍋(奥州市、30年にわたりグルメまつりで芋の子汁調理)
市内の倉庫に置かれていたジャンボ鉄鍋=2月撮影

 奥州市は、18(平成30)年まで30年にわたり「奥州水沢グルメまつり」で使用されていた”ジャンボ鉄鍋”を処分した。バブル期の好調な地域経済を背景に製作され、地域のにぎわい創出に一役買ってきたが、進む老朽化に解体となった。今後同様の鍋を製作する計画は今のところないという。
(脇坂拓未)

老朽化進み解体

 鉄鍋は、直径3.5m、深さ87cm、重さ5tで鉄製鍋としては日本一を誇った。1989(平成元)年、当時の水沢商工会議所会頭の発案で鋳物の良さを生かし全国にPRしようと製作された。
 同年のグルメ祭りで初お披露目された後、旧水沢市へ寄贈されて行政が維持・管理を続け、毎年秋の風物詩となった。一度に数千人分もの芋の子汁が調理、振る舞われることが恒例で、市内外から市民が押しかけ舌鼓を打った。
 しかし、屋外での豪快な調理は天候にも左右された。2019(令和元)年をはじめとして、台風など悪天候によりたびたび調理が中止になった上、2020年以降は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から数年にわたりイベント自体が開催されず、鍋も使われなかった。
 2022(令和4)年に「秋祭り」としてイベントは再開したものの、感染症対策の中で料理が提供できなかったことに加え、長期間使用されなかったこともあり鍋にさびが出て調理は困難と判断。展示撮影スペースを設けることで対応した。その後は一般公開されることなく、市内のリース会社倉庫で保管を続けていた。
 使用の見込みが立たない中、維持コストを市が負担する状況が続いていた。市観光物産課によると、直近1年間の倉庫賃貸借費用は約10万円。使用できる状況に修繕するにも多額の費用が見込まれる中、別用途での再利用も困難との結論に達し、商工会議所など関係団体からの了承も得て解体が決まった。
 処分費用として昨年12月の補正予算で約70万円を計上、3月6日から作業に着手した。鉄鍋は県内の業者に運ばれ、鉄として引き取られたという。
 奥州市観光物産課は「市としても正直寂しさがあるが、なかなか利用方法も見つからない状況を踏まえて処分を選択した。何かの形で鉄鍋の鉄が再活用されれば」と話していた。