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“星のゆりかご”起源に迫る

ILC誘致、秋以降に首都圏シンポ(岩手県推進本部で確認)

ILC誘致、秋以降に首都圏シンポ(岩手県推進本部で確認)
本年度のILC推進の具体的取り組みを確認した推進本部会議=県庁

 本年度第1回県ILC推進本部会議は24日、県庁で開かれた。国際リニアコライダー(ILC)誘致実現を目指す県は、秋以降に県が中心となり企画するシンポジウムを首都圏で開催する予定。体制を整え再始動した国会のILC議連(会長・大野敬太郎衆院議員)などと連携し、引き続き国などへの働きかけを強化する。
(児玉直人)

国などへ働きかけも強化

 ILCは素粒子物理学の大型実験施設。県は国内の素粒子物理学者らと連携し、本県南部の北上山地の地下に誘致しようとしている。北上山地は国内素粒子物理学者の間で選定した場所で、日本政府や国際的な取り決めで正式決定した候補地ではない。2009(平成21)年ごろから県民に明らかとなり、地域振興や国際学術都市の形成などにも期待されているが、高額な建設・運営コスト、他の素粒子実験施設建設計画との兼ね合いなどから、日本誘致に結びつくような大きな動きに至っていない。
 本部会議ではILCを取り巻く昨年度以降の状況が、県ILC推進局から報告された。
 欧州では次期素粒子物理戦略の策定作業が進められているが、草案では、「FCC-ee」と呼ばれる大型加速器が推奨されている。FCC-eeは、東京の山手線に相当する規模で、欧州原子核研究機構(CERN)があるスイスのジュネーブ近郊から、フランス国境地帯にかかる地下への建設が想定されている。FCC-eeはILC以上の高額な建設費がネックとなっているが、欧州内で支援する動きもあるほか、米国もFCC-eeを見据えた体制にシフトしている。
 中国が推進していた大型円形加速器「CEPC」については、中国の第15期5カ年計画(2026-2030年)には位置付けられなかった。FCC-eeが実施されない場合は、第16期計画に提案される可能性があるという。
 一方日本国内では、国会のILC議連会長を務めていた元文科相の塩谷立氏が政治資金パーティー問題によって自民党から離党勧告を受け、その後政界を引退。"開店休業状態"になっていたが、同党の大野氏(衆院香川3区)が会長、中道改革連合の階猛氏(衆院岩手1区)が副会長に就任するなど、体制を再構築した。
 県は本年度、再始動したILC議連と連動して日本政府によるタイムリーな誘致判断が実現できるよう、効果的な働きかけを行う。
 併せて、日本成長戦略や科学技術政策、経済界で中核を担う関係者に対象を絞った「首都圏シンポジウム」を秋以降に計画。県ILC推進局が中心となって企画するが、具体的な開催時期や場所をはじめ、主催者や登壇する講師などの詳細は調整中という。対象を絞り込んでいる理由について、同局の前田敬之副局長は「日本政府の誘致判断を早めていただく上で、日本全体、産業界にもILCはメリットがあると訴えたいためだ。政権が進めている成長戦略にも関わってくる話だと、特にも政財界関係者にアピールすることで、ILC誘致を実現させたい」と話している。
 このほか、各種普及啓発活動、技術セミナーの開催、児童生徒向けの出前授業なども計画している。