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新スパコン「アテルイ3」始動(国立天文台水沢)
新スパコン「アテルイ3」始動(国立天文台水沢)
国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)敷地内に設置した新しい天文学専用スーパーコンピューター(スパコン)「アテルイ3(スリー)」(※注)が2日、始動した。高度な演算処理により天文学にまつわるさまざまな謎の解明を目指す。
2種類のシステム搭載、研究内容に応じ選択可
本体は日本ヒューレット・パッカード合同会社が納入。古代東北を治めた英雄・アテルイにあやかった従来機の愛称を踏襲し「アテルイ3」と命名した。
性能が異なる2種類のシステムを搭載しているのが最大の特徴。研究目的によって最適なシステムを選べる。データ転送速度が向上し処理時間も短縮した。
本体内の排熱を効率よく行うため水冷装置を採用。空冷用ファンが大幅に減り、建屋内の静音化も図られた。冷却空気を流す機器同士の隙間も縮小され、本体の大きさは、8月まで稼働していたアテルイ2(※注)の半分以下となった。
本体外側の化粧板デザインは美術家の小阪淳さんが担当。篆書体と回路図をほうふつさせるデザインで「阿弖流為(アテルイ)」と「3」の大字「参」を表現した。
同日、記者会見とスパコンの報道公開が行われた。小久保英一郎・天文シミュレーションプロジェクト長は「アテルイ3は天文学のあらゆる分野で使えるスパコン。水沢で行われている観測研究との共同作業で、天文学のさまざまな謎を解き明かしたい」。本間所長は「スパコンに『アテルイ』と言う名前がついていることで、市民の皆さんも関心を持っている。今後も応援いただけたら」と話していた。
※……アテルイ3、アテルイ2の「3」および「2」は、本来はギリシャ数字表記ですが、ウェブ上での文字化けを防ぐためここではアラビア数字で表記しました。