皇室献上米 世紀を超えて(今に伝える高い品質)
皇室献上米 世紀を超えて(今に伝える高い品質)
水沢神明町の三宅秀一さん(90)方の蔵から、約100年前に皇室へ献上した米の玄米が見つかった。量は32g(0・2合)とわずかだが、粒はそろい、現代の玄米とほとんど変わらない状態を保っている。今後の扱いは未定だが、秀一さんは「代々伝えていくことも考えたい」と話している。
(岩渕歩)
水沢神明町・三宅秀一さん方(蔵の整理中、家族が発見)
玄米は4月初旬、蔵を整理していた際に、茶だんすの中のふた付き陶器に入った状態で家族が発見した。紙片が同封されており、「献上米/昭和四年産米/昭和五年一月献上/佐倉河字宝龍田産」と記されていた。
献上時期とされる1930(昭和5)年は96年前で出生以前だが、秀一さんは幼いころから蔵に献上米があると聞かされていた。過去の記録によると、生産者は秀一さんの祖父健治さん(故人)。紙片にあった佐倉河字宝龍田にある田んぼでは、1997(平成9)年にも、「三陸海の博覧会」で天皇陛下に供された米が収穫された。茶だんすの中には二つの湯飲み茶わんが並んでおり、もう片方には「平成9年」と記された米が入っていた。妻トヨ子さん(88)が「自慢の米」として守り続けてきたのだという。
北上市の農業科学博物館によると、約100年前、県内では「愛国」「亀の尾」「陸羽21号」などの品種が栽培されていた。中でも「陸羽132号」は1924(大正13)年に県の奨励品種となり、多収で病気や冷害に強いために広く普及していたとされる。
保存されていた蔵は、石の上に木材が組まれた頑丈な造り。湿気がこもりにくく、夏でもひんやりする構造で、米を良質な状態で保存できる環境が整っていたとみられる。
周辺の水田を管理する(株)森岡ファームの森岡誠会長(74)は「古い米は割れたり粉を吹いたりするものだが、それがほとんどない。皇室に献上されたほどの良質な米が、ここまで良い状態で残っていたのは跡呂井地区の誇り」と話す。約1世紀の時を経て姿を現した貴重な玄米を前に、「色彩選別機のなかった時代。一粒ずつ手で選び抜いたのでは」と思いを巡らせていた。