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ブラックホールの活動期捉える
日本の米国加速器計画参加検討に達増知事「ILCに弾み」
達増拓也知事は17日の定例会見で、日本政府が米国の大型加速器「EIC」建設計画に参加の方向で検討を始めたとの報道を受け「経済対策としてアメリカでEICが進んでいくのは、日本でILC(国際リニアコライダー)を進めていく参考になる。ILCの実現にも弾みがついていくことを期待する」と所感を述べた。
EICは電子と原子核を高速で衝突させ、粒子の振る舞いから物質とエネルギーの関係性を解明することを目指す全長約3.8kmの円形実験装置。極小の世界で働く「量子力学」の研究が深まるという。文部科学省が設置した有識者会議では、今夏にも参加する方針を示すとされている。
県はこれまで、国内の素粒子物理学者らと連携し、電子と陽電子を正面衝突させ、ビッグバン直後の状態を再現することで質量をつかさどる「ヒッグス粒子」の性質を調べるILCの誘致に取り組んできた。
達増知事はEICについて「研究対象は量子科学で、量子コンピューターなど実用的な研究にも参考になる」とし、ILCについて「ヒッグス場と言ってもいいが、物質やエネルギーの根本の部分が研究対象になっている」と違いを示し、「研究は別途やらなければならない」と力説。「現在も加速器は世界中にたくさんあり、いろんな目的のため成果を参考にし合いながら、それぞれ研究を進めている。新しい研究領域に進んでいけるような大型の加速器があちこちにできるのは、むしろ必要なこと。人類の科学と実用的な技術にも寄与する」とILCの必要性を強調した。