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【トピックス】ILCはグローバル計画(浅井祥仁氏に聞く)

身近な施設 世界をリード(奥州宇宙遊学館開館16周年記念講演会)

身近な施設 世界をリード(奥州宇宙遊学館開館16周年記念講演会)
VERAの建設と成果を講話する小林秀行さん

 NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)主催の奥州宇宙遊学館16周年記念講演会「VERAの建設と成果、そして未来――水沢から世界の天文学をリードする――」が21日、奥州市水沢星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれた。講師には元国立天文台水沢VLBI観測所長で同天文台名誉教授の小林秀行さんを招き、遊学館の成り立ちや現在に至るまでを振り返りながら長年の研究で得られた成果を紹介した。約50人が聴講し、身近な宇宙研究施設の歴史に理解を深めた。
 緯度観測所2代目本館として1921(大正10)年に建設され、1966(昭和41)年に移築。取り壊しの案が出る中、地域の有志らが積極的に働きかけたことによって2006(平成18)年に奥州市への譲渡が決まった。所長として調整に当たった小林さんは「宇宙遊学館はかなりユニークな建物。昔の雰囲気を残したまま宇宙の研究を進めている施設は全国的にも珍しい」と説明した。
 VERAは銀河系の3次元立体地図を作るプロジェクト。1983年の計画立案からさまざまな検討を重ね、実現した。全国4カ所にある観測所は1999年の着工からわずか16カ月で完成。「基礎から建設まで世界最速のスピード。みんな究極の観測がしたいという一心だった」と解説し、今年には銀河系の中心までの距離の観測を世界最高の精度で達成したことを紹介した。