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望遠鏡保守 寒空もなんの(天文台水沢)
さらば「アテルイⅡ」(国立天文台水沢で稼働スパコン、先月末に運用終える)
国立天文台水沢キャンパス=水沢星ガ丘町=に設置されていた天文学専用スーパーコンピューター「アテルイⅡ」が8月末で運用を終了し、本体が現地から撤去されていたことが13日までに分かった。
同天文台は2013(平成25)年、スパコン本体の設置場所を東京都三鷹市の本部(三鷹キャンパス)から水沢キャンパス敷地内に変更。本体冷却にかかるコストなどを考慮し、同天文台最北の観測拠点である水沢が選ばれた。古代東北を治めた英雄・アテルイにちなみ、本体の愛称を付けた。
初代本体は2018年まで稼働。同年6月から後継機「アテルイⅡ」が導入された。世界中の天文学者がアテルイⅡを利用して実際に観測できない未来や過去、宇宙の遠方で起きている天文現象を理論に基づいて再現。同天文台天文シミュレーションプロジェクト(CfCA、小久保英一郎プロジェクト長)によると6年3カ月の運用期間中、約600本の論文の作成に貢献したという。
スパコン本体は窓がない平屋のコンクリート建屋の中にあり、「銀河フェスタ」などイベント時以外は非公開。奥州市などは2019年、普段訪れる見学者にスパコンの存在を伝えるため、建屋前に説明看板を設置している。
CfCAは今月9日、X(旧ツイッター)に小久保プロジェクト長が本体のスイッチを切る様子や本体が分解され、大型トラックで運ばれる様子などを画像で公開した。