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望遠鏡保守 寒空もなんの(天文台水沢)

コーヒー愛する若き天文学者(国立天文台水沢VLBI観測所特任助教・岩田悠平さん)

コーヒー愛する若き天文学者(国立天文台水沢VLBI観測所特任助教・岩田悠平さん)
岩田悠平(いわた・ゆうへい)さん(30)

慶応義塾大学理工学部物理学科、同大大学院理工学研究科基礎理工学専攻で理学博士を取得。車社会の岩手に来て、初めてマイカーを購入した。コーヒー以外の趣味はスポーツ観戦。「競技や種目は問わず何でも見る。パリ五輪も楽しく見ることができた」

 今月18日、奥州宇宙遊学館の定例イベント「サイエンスカフェ」で講師を務めた。「カフェ」の名の通り、コーヒーやお茶、お菓子を口にしながら、のんびりとした雰囲気で科学の話を聞くイベント。回目の開催にして、自ら用意したこだわりのコーヒーを入れた講師は初めて。それほどコーヒーに造詣が深い若き天文学者だ。
 母親の実家がある鹿児島県で生まれ、幼少期から横浜市に暮らし大学院修了まで過ごした。茨城大研究員、国立天文台科学研究部=東京都三鷹市=の特任研究員を経て、同天文台水沢VLBI観測所の特任助教に。就任したのは今年の4月だが、昨年10月から科学研究部在籍のまま水沢に赴任していた。
 博士論文は、水沢に運用拠点を置く天文広域精測望遠鏡(VERA)を使用した研究。そのため何度か水沢を訪れたことはあるが、茨城大がある水戸市より北に住んだことはなかった。「冬の寒さはこたえる」
 横浜市が設立した理数系専門の高校、横浜サイエンスフロンティア高校の1期生。「もともとブラックホールなど宇宙の謎に興味があった」
 宇宙への興味と同様、関心を深めていったのがコーヒー。「毎日コーヒーを入れる家庭で育った。コーヒーのことももうちょっと勉強してみたいなと、大学時代にはスターバックスコーヒーの店舗でアルバイトし、いろいろ学んだ」。ミルクを使ってカップ内のコーヒー表面に絵を描く「ラテアート」の技も身に付けた。
 天の川銀河中心部や超新星爆発に関する研究に取り組みながら、お気に入りのコーヒーを探す。身近な飲み物であるコーヒーだが、豆の種類や産地、精製方法、使用する道具や入れ方によって、風味が変わる奥深い世界。「気になったら知りたいし、調べたい。そこは研究もコーヒーも同じかな」
(児玉直人)