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新スパコン「アテルイ3」始動(国立天文台水沢)
南部鉄器・半導体・宇宙の仕事人が職業観語る(6月9日、水沢でトークイベント)
「南部鉄器・半導体・宇宙トークショー」は、6月9日午後1時から水沢星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれる。全く異なる分野で活躍する奥州市内事業所の3人が、高校生や大学生に向けて職業観やキャリア形成への考えを語る初の試み。なぜ地方で仕事をするのか、この地にどんな魅力があるのか──。進学や就職を機に若者が県外都市部へ流出することが人口減の一因となっている中、ざっくばらんに語り合い、進路を考える上での参考にしてもらう。
水沢羽田町の鋳造業者・及富、江刺岩谷堂に東北事業所を置く半導体製造装置メーカー・東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ(TEL)、水沢に天文観測・研究施設を構える国立天文台、市地域おこし協力隊員・小泉成文さん(34)が代表を務め、鋳物産業の課題解決に取り組む「お鋳成(いなり)」の4者が主催する。
小泉さんがTELシニアスペシャリストの田崎文得さん(38)の講演を聞いたのがきっかけ。田崎さんはもともと同天文台の研究員で、2017(平成29)年に夫や長女と一緒に、同天文台水沢VLBI観測所がある奥州市に移住。国際研究事業「イベント・ホライズン・テレスコープ」で、人類初のブラックホール撮影に携わった。研究員の任期が切れる窮地に立たされる中、TELが正社員として採用。国際的な研究で得た経験を半導体製造装置開発に生かす一方、天文学研究も業務の一環として認められている。
トークショーで話題を提供するのは田崎さんと、及富の菊地海人さん(40)、TEL開発部の渡部翼さん(39)。菊地さんは、家業である及富のアートディレクターとして、南部鉄器の伝統を生かしつつ海外を含めた新たな事業展開などにも携わっている。渡部さんは山形県鶴岡市出身で、半導体製造装置の開発に携わる。
3人とも業種だけでなく、出身地や経歴も異なるが、「奥州市に拠点がある事業所で仕事をしている」という点は共通。イベントのPRを担当する同観測所広報の小沢友彦特任専門員は「今の時代、どの職業分野も人手不足が大きな課題。また『地方にはいい仕事がない』と都会へ出ていく若者も多く、人手不足や人口減少に拍車をかけているのが現状だ」と語る。その上で「地元にこういう仕事をしている人がいる、こんな仕事があるというのを知らない高校生、大学生も多いと思う。3人はいろいろな道を進んできた結果、今の姿がある。生徒学生の皆さんには、今すぐやりたい仕事が思い浮かばなくても、3人の話を聞いて何かを感じ取ってもらえたら」とアピールする。
定員は50人程度で、入場無料だが事前申し込みが必要。1回の申し込みで4人まで受け付ける。問い合わせは主催者にメール(collaboration.oshu@gmail.com)で。