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新スパコン「アテルイ3」始動(国立天文台水沢)
月に住むには何が必要?(宇宙遊学館で講座)
月の環境や居住の可能性について理解を深める講座がこのほど、奥州市水沢の奥州宇宙遊学館(亀谷收館長)で開かれた。
科学の世界に触れてもらう月例講座「サンデースクール」として開催。月探査衛星の機器開発などに携わった国立天文台OBで、同館の花田英夫企画主幹が、地球と月面の環境の違いなどを列挙しながら、月に人が住むには何が必要か説明した。
小学生から大人まで18人が聴講。月面の砂(レゴリス)を模した粉末と、地球の一般的な砂を顕微鏡で見てもらった。花田主幹は「地球には空気や水があるので、岩石や砂は次第に角が取れて丸くなっていく。しかし、月には大気も水がないので、細かく砕けてもとがった粒子のままだ」と説明。宇宙服に付着すると繊維に絡まり、落ちにくいという。万が一、人間が吸い込んでしまうと、肺機能に悪影響を及ぼす恐れがあると指摘した。
米国が主導し日本も参加している月面有人探査「アルテミス計画」では、将来的な火星有人探査の拠点となる月面基地建設が見込まれている。発電や蓄熱の素材、水の確保、月面基地の建材にレゴリスを活用する研究も進められている。
同計画では、女性や日本人の月面着陸も話題に。既に日米両政府で合意が交わされており、日本人の月面着陸は2028年と2032年を目標としている。人材以外でも、月面探査車両の開発にトヨタ自動車が携わっているなど、日本の貢献度は高い。
有人月探査に関しては、中国も推進している。