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誘致運動、理解が前提(国際加速器施設の「勉強会」相次ぎ開催へ)

誘致運動、理解が前提(国際加速器施設の「勉強会」相次ぎ開催へ)
ILCの想像図

 北上高地が有力候補地とされる、世界的素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致に向け、関係機関による「勉強会」が相次いで開かれる。誘致運動が本格化する前に、まずは施設に対する関係者の理解構築を図ろうとする狙いがあるとみられる。

 ILCは、あらゆる物質を構成する最小単位の一つ、「素粒子」を扱う地下研究施設。素粒子の一種、電子と陽電子をILCを使って超高速で衝突させることで、宇宙誕生の謎を解明するという。
 世界の素粒子研究機関の間では、2020年ごろの稼働を目指し、候補地を検討中。この候補地の一つに、江刺区を含む北上高地の地下にある花こう岩体が挙がっている。地殻変動を受けにくいことが、設置の必須条件となる。
 こうしたILCにまつわる基本情報や想定される地域への効果などについて、共通認識を図ろうとする動きが表面化している。
 ことし4月には、産学官連携組織として「東北加速器基礎科学研究会」が発足。同会は先端加速器科学技術推進協議会とともに、6月2日、仙台市内でシンポジウムを開催する。
 同6日には、国際経済政策調査会が、奥州市文化会館(Zホール)を会場に、第57回「加速器科学研究会」を開催。同調査会は一昨年から3回、仙台市で研究会を開いていたが、今回、ILC候補地の近くで研究会を開き、誘致実現への機運を盛り上げる考え。高エネルギー加速器研究機構(KEK)の吉岡正和教授が、ILC計画について講演する。
 このほか、市町レベルでの勉強会も行われる。今月18日には奥州、金ケ崎両市町議会議員交流会で、県南広域振興局の勝部修局長がILCに関し講演する。
 ILCで行われる研究は、「基礎科学」と呼ばれる専門性の高い分野。研究結果が一般市民生活に直結するわけではない。基礎科学の分野で解明された事柄を応用的に活用し、新製品や新技術の開発に発展していく形だ。
 一方で、世界に一つだけしか設置されない研究施設が立地されることは、地域振興の面にも追い風になるなど、間接的な効果を期待する声もある。