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天文台水沢保存の臨時緯度観測所本館 日本天文遺産に認定
トップ候補は北上高地(勝部・県南振興局長が期待感)
岩手県県南広域振興局の勝部修局長は、「国際リニアコライダー(ILC)」の建設地について、「国内候補地に順位を付けるなら、北上高地はトップ」との考えを示した。このほど、水沢区内のホテルで開かれた奥州市、金ケ崎町両議会交流会の講演で、ILC誘致の可能性に触れた。
勝部氏は、県科学技術振興室の室長補佐だった1993(平成5)年、ILCの誘致に向けた事業に携わった。ことしに入り急浮上したILC誘致だが、10年以上も前から情報収集が行われていたという。
ILCは地下に直線状のトンネルを掘り、すべての物質を形成する最小単位の一つ「電子」と「陽電子」を超高速で衝突させるという大規模実験装置。「ぶつけると言っても、危険なものではありません」と、分かりやすい切り口でILCの構造を説明した。
北上高地がILC設置の候補に選ばれた理由は、その強固な岩盤。田瀬湖の南側から、江刺区の学間沢バス停付近、米里、伊手、阿原山へと至り、一関市の大東、千厩へと至るラインが、すべて硬い花こう岩盤になっており、実際に踏査もしたという。
勝部局長は「最初は延長25km程度のトンネルを想定していたが、30km、50kmと想定規模が大きくなるにつれ、候補地も次々に絞られてきた。国内候補地に順位を付けるなら北上が一番と言いたい。地質学者にサンプルの岩を調べてもらったら、その硬さに驚いていた」と語った。
今後については、「海外研究者を含めた居住環境の受け入れを考えると、岩手県だけでは課題が多すぎる。つくば(茨城県にある学術研究都市)には、海外研究者の子どもを学ばせる教育環境がなく不評だという。こうなると、東北各県と協力しないといけない。岩手というより、東北として何とか誘致しようという機運を高めていく必要がある」と訴えた。