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ILC誘致へ調査費、奥州市が予算化方針(6月補正)
世界的素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」の有力候補地の一つに、北上高地が挙がっていることを受け、奥州市は調査費用を補正予算に計上する方針を固めた。市議会6月定例会への提案を目指す。
当面は旅費が中心
北上高地の地下に広がる花こう岩盤は、地殻変動の影響を受けにくい。震動を嫌うILC建設には最適な環境で、最大50kmに及ぶ直線地下トンネルを掘るのに十分な距離を確保できるなど、最適な条件が整っているとされる。
水面下の情報調査や先進地視察などが行われていたが、ことしに入り、東北経済連合会と東北大学、東北6県による「東北加速器基礎科学研究会」が発足。北上高地がILCの有力候補地であることが知られ始めてきた。
県は本年度当初予算に調査費800万円を計上。建設ルートとして想定される場所に、二つの花こう岩体が接している部分があり、建設への影響を探るための地質調査(ボーリング作業)に充てる。
市も、建設ルートに江刺区の東部地域が該当することから調査費の計上を目指す。ただ、国内の関連機関への訪問や研究会などへの出席に伴う旅費が中心で、金額は数十万円程度を見込んでいる。
相原正明市長は「世界遺産の登録延期、大地震、景気低迷という話題が多い中、明るく夢の持てる話題だ。(建設が決まれば)素粒子研究の分野でのメッカ(中心地)になるだろう」と話す。
ILCの建設候補地として、北上高地のほか九州の背振山地、国外では米国シカゴ近郊やスイスのジュネーブ近郊などが挙げられている。
今は誘致運動というよりは、ILCの概要などを知る勉強段階。東北でも産学官の情報交換や、有識者による講演会などが中心だ。
達増拓也知事はことし2月19日の会見で、「過度な誘致合戦が国際的研究活動の妨げになっては好ましくない」と述べた。必要な情報や資料の収集、研究者による現地調査、地元理解の増進に県として協力する構えを示している。
相原市長も同様で、「市に専門担当部署を設けるようなことは次の段階。当市だけが抜き出て進めるものでもないし、逆に『何も知らなかった』ではいけない。県などとうまく連携を取っていきたい」としている。