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誘致に奥州市長前向き(素粒子研究所)

誘致に奥州市長前向き(素粒子研究所)
相原正明奥州市長

 北上高地の地下に、大規模な素粒子研究施設「国際直線衝突加速器(インターナショナル・リニア・コライダー=ILC)」を誘致させる構想が持ち上がっていることについて、相原正明奥州市長は3日「動向を注視し、積極的に協力したい」と前向きな考えを示した。
 市議会一般質問で、佐藤克夫氏(奥州創政会)の質問に答えた。佐藤氏は「国際的な研究施設が来れば、地域への波及効果は大変なもの。積極的な運動を展開すべきではないか」と問い掛けた。
 相原市長は、「本市が研究拠点になれば、1000人規模の研究員が各国から訪れ滞在することが想定される。高等教育機関、試験機関など人と知識が集積した風格ある都市になると思う」とした。
 ただ、北上高地が有力候補である情報が出ているとはいえ、国としての明確な誘致方針は、まだ示されていない。日本以外にも、アメリカやヨーロッパなど国際社会も絡んだ誘致協議になるだけに、相原市長は「日本誘致に向け長年積み重ねてきた関係者の努力を壊すことがないよう配慮しながら、受け皿づくりなどを考えたい」と語った。
 また、市側の担当部署については現在、総合政策部政策企画課で担当しているが、相原市長は新年度開設予定の奥州市東京事務所も誘致事務の一端を担えると示唆。「茨城県つくば市に、加速器研究の学術機関があるので、まさに足で稼いで当地への着地を実現させるようにしたい」と話した。
 ILCはすべての物質を構成する最小の物体「素粒子」のうち、電子と陽電子を高速衝突させる大規模な地下実験施設。宇宙誕生の謎を解明する、基礎科学の研究のために活用される。
 電子、陽電子は光の速度(秒速約30万km)にまで加速させるため、地底に最大50kmの直線トンネルを整備する必要がある。地底の揺らぎの影響を防ぐため、強固な地盤の中に造ることが求められる。