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ILC整備構想で北上高地の地質調査へ(来年度、岩手県が東北大と連携し)
岩手県は2010年度、東北大学との連携により、大規模素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の設置構想に関連した地質調査事業を実施する。2010年度県当初予算案に、「プロジェクト研究調査事業費」として2760万円を計上。このうち2500万円を調査に投じる考えだ。
ILCは、素粒子物理学の最先端研究施設で、国際協力のもと、建設構想が練られている。肉眼で確認できない、「電子」と「陽電子」を高速衝突させ、物質が世に生まれた理由や宇宙誕生の謎を解明するのが最大の狙い。実験成果を生かした応用技術への派生も期待されている。
非常に小さな物質を高速かつ正確に衝突させるには、わずかな「揺れ」さえも大きな障害になる。施設や装置類には高い精度を求められ、施設全体が30~50kmもの直線距離を必要とする。このため、地底に強固な岩盤が広がっている場所にしか建設できないことが必然となってくる。
こうした厳しい条件を果たせる場所を世界で1カ所だけ選定。日本国内にもその候補地がいくつかあり、江刺区などを含む北上高地の花こう岩体も有力地の一つだ。
県は、東北大と連携し、北上高地内の3カ所でボーリングなどの方法で調査。場所選定の協議に必要になると思われるデータをまとめる。
具体的な日程や場所は東北大側との協議によって決まるが、県政策地域部の担当者は、「調査地となる地元の皆さんに説明し、農作業などに支障のない時期などを選び実施することになるだろう」と話している。
研究調査事業費2760万円のうち、県が負担する調査経費は2500万円。残額は、東北地方の産学官組織で結成している研究会の運営費に充てる。