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江刺の地下が最適、ILC建設に高評価(鈴木KEK機構長が仙台で講演)
高エネルギー加速器研究機構(KEK)機構長の鈴木厚人氏は13日、仙台市内のホテルで講演し、素粒子物理学の国際研究機関「国際直線衝突加速器(ILC=インターナショナル リニア コライダー)」の国内建設候補地とされる、江刺区など北上高地について、「地盤が安定しており、日本の中でもいい環境」との考えを示した。2014~2015年ごろまでに、最終的な計画実施の国際的判断が固まり、実行となれば2020年ごろに建設される見通し。
鈴木氏が機構長を務めるKEKは、茨城県つくば市を拠点に、素粒子物理学の研究を手掛ける学術研究機関。講演会は、東北加速器基礎科学研究会の総会後に開かれた。
鈴木氏は、ILC計画の現状や必要性について解説。日本、アメリカ、ロシア、ヨーロッパの世界4カ国(地域)のいずれかに建設することになる見込みだが、「各国の事情などをみると、日本とヨーロッパに絞られつつある」と述べた。
ILCは、あらゆる物質を構成する最小単位である「素粒子」の構造を調べ、宇宙の成り立ちなどを突き止める研究施設。10億分の1mサイズの素粒子同士を超高速で衝突させ、内部構造を解明する。
そのためには、素粒子を高速状態に加速させる機器を多数配置した直線状のトンネルが必要。地震のような地球本体の地下の動きはもちろん、月の引力による影響なども考慮し、「安定した地下環境が得られる場所」を選定する必要がある。
鈴木氏は、こうした厳しい条件をクリアできる場所として、江刺区などを含む北上高地一帯の地下が最適であると強調。「日本の中でもいい環境だ」と太鼓判を押した。