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素粒子物理学の奥深さに触れる(SSHの水沢高校)
文部科学省の理数系教育重点校「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH)の指定を受けている県立水沢高校(佐藤成人校長、生徒845人)の国際リニアコライダー(ILC)講演会は14日、水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)で開かれた。東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了准教授(44)を講師に招き、参加した生徒たちが基礎科学の大切さとILCの役割について理解を深めた。
東大准教授招きILCの役割理解
国際経済政策調査会と同校が主催。生徒や保護者ら約900人が参加した。
ILCは、あらゆる物質を構成する最小単位の一つ「素粒子」を超高速で衝突させる研究施設。電子と陽電子の衝突反応や内部構造を調べることで、宇宙や物資の誕生の起源に迫る。
実験施設となるのは、地下約100mに掘られた直線状のトンネル。その建設候補地の一つに北上高地が挙げられ、胆江地区でも注目を集めている。
山下准教授は「宇宙の遺伝子・素粒子でさぐる大宇宙の進化~素粒子物理への誘い」と題し、宇宙の歴史や最先端の素粒子研究などを分かりやすく説明した。
素粒子物理の研究について「見えないものを見るのが特徴で、国や人種、宗教を越え、世界の研究者が一つの目標に向かって協力している」と力説。「宇宙はどうやって始まり、何でできているか。答えはまだどこにも載っていない。情報を集めて学ぶだけでなく、自ら考え、悩んで一緒に挑戦しよう」と語り掛けた。
講演後、生徒から質問が相次いだ。生徒の一人が「日本は地震の多い国。ILCの妨げにはならないか」と投げ掛けると、山下准教授は「地震は大丈夫だが、活断層が問題になる」と答えた。
講演に先立ち、国際経済政策調査会の会長で、2002年にノーベル物理学賞に輝いた小柴昌俊東大名誉教授のメッセージを紹介。「科学は疑問を持ってから始まる。本気で考え抜いて、やり方を見つけることが大切」との激励に、生徒たちは真剣な表情で聞き入った。
理数科3年の郡山鈴夏さん(17)は「将来は医学の道に進みたいが、素粒子の話も面白く今後に役立てたい」と満足そう。同科3年の本明拓也さん(17)は「とても分かりやすく、さらに興味深くなった。大学でも物理を学びたい」と誓いを立てた。
同校の中村智和教諭(43)は「国の発展にもつながる基礎科学の重要性を認識してもらい、国を背負う人材になってほしい」と生徒たちに期待を寄せた。
