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ILC計画実現へ地元理解 必須(東大准教授の山下了氏)

ILC計画実現へ地元理解 必須(東大准教授の山下了氏)
ILC計画や地元として必要な体制などについて理解を深めた講演会(Zホール)

 東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了准教授は15日、奥州市文化会館(Zホール)で開かれた講演会で、素粒子物理学の研究機関「国際直線衝突加速器(ILC=インターナショナル リニア コライダー)」の整備に関し、「税金で実施するプロジェクト。皆さんの理解なくしては進まない」と述べ、候補地における認知度向上と合意形成の重要性を強調した。
 講演会は東北加速器基礎科学研究会が主催。岩手県や奥州市、奥州商工会議所などが後援した。市内外の地域住民のほか達増拓也知事、小沢昌記市長ら行政関係者も含め約600人が聴講した。
 ILC計画の周知活動にも携わっている山下准教授は、「(候補地の一つであるために)この地域では計画を知っている人がある程度いる特殊な状況だが、全国的に聞いてみれば1%いるかいないか。一番大事なのは、皆さんに知っていただくこと。この計画が大事だと思われなければ実現しない」と強調。素粒子の基礎知識や研究の必要性、この分野で活躍している日本人研究者の例を紹介しながら、ILC計画の必要性を説明した。
 聴衆から「仮にこの地域にILCができた場合、どういう生活環境を整えたらいいか」との質問に、山下准教授は「まず、子育てをまず第一に考える。インターナショナルスクールは必要だ。『法律は研究者の出身国のものを適用するのか日本のものにするか』『納税の義務は』など、国や自治体の協力を得て検討するものも出てくる」と語った。