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ILCで宇宙誕生探る(KEKの吉岡教授、水沢外交協で講演)
水沢日本外交協会(亀卦川富夫会長)の第87回講演会は5日夜、水沢区内のホテルで開かれた。素粒子物理学の研究機関「国際直線衝突加速器(ILC=インターナショナル リニア コライダー)」について、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の吉岡正和特任教授が解説した。
約140人が出席。「宇宙誕生の謎に挑む日本の貢献」と題し、素粒子物理学やILC計画について話題を展開した。
ILCは、物質を構成する最小単位「素粒子」の構造を解明する地下実験施設。素粒子の構造を調べることにより「どのようにして物質がこの世に誕生したのか」「宇宙がどうやって誕生したのか」を突き止める。
吉岡教授は、素粒子研究の歴史や研究が必要な理由などを解説。「ILCの中で素粒子の衝突実験をすることは、原子や分子が存在しなかった宇宙誕生時の状況を再現する。そういう意味ではILCはタイムマシンみたいなものだ」と話した。
日本をはじめ世界主要国の素粒子研究機関では、ILCの建設を計画。施設や装置類の設計や実験が進められており、これがまとまり次第、設置場所の選定に入る予定だ。
施設自体は地下に作られることが想定されているが、地殻変動などの影響を受けにくい場所を選ぶ必要がある。いくつかの候補地がすでに示されており、江刺区などを含む北上高地の地下も有力とされている。
国際研究機関の設置が実現された場合は、さまざまな経済効果や地域振興などが見込まれる可能性が高い。このため地元経済界や自治体、学術機関などが連携し、理解・啓発活動を推進している。