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ILCの有望性立証へ地質調査、江刺など3カ所で着手(岩手県と東北大)

ILCの有望性立証へ地質調査、江刺など3カ所で着手(岩手県と東北大)
ILC建設計画に関連し始まった地質調査(江刺区米里字鶴城地内)

 岩手県と東北大学は、素粒子物理学の研究施設として計画されている「国際リニアコライダー(ILC)」に関連し、13日から江刺区など3カ所で地質調査を実施している。11月ごろまで作業を続け、来年3月までに調査結果をまとめる。
 ILCは電子と陽電子を光の速さに近い速度で衝突させ、物質が世に生まれた理由や宇宙誕生の謎を解明する狙いで計画されている研究施設。
 肉眼で確認できない非常に小さな物質を相手にした実験施設であり、気温や地震などの影響を受けにくい環境であることが条件。このため地下に建設することが理想とされ、加えて30~50kmもの直線のトンネルが必要となることから、強固な岩盤が広範囲にわたっている場所にしか建設できない。
 これらの条件を満たす場所の一つとされるのが、江刺区東部の中山間地を含む北上高地。現地の地盤の有望性を証明するため、岩手県と東北大は地質調査に乗り出した。岩手県は本年度当初予算に2500万円の調査経費を計上していた。
 調査地は江刺区米里字鶴城地内と一関市大東町大原、同町鳥海の3カ所。ボーリング掘削により、地中の岩盤のサンプルを取り出す。このほか、一関市内の2カ所では人工的に地震を起こし、地殻変動による影響がどの程度なのかも調べる。
 調査結果は来年3月までに取りまとめられ、建設地選定の参考データとして活用される見込みだ。