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ILC講演会で経済効果テーマ、関心高める商工業界
素粒子研究施設国際リニアコライダー(ILC)整備による経済効果をテーマにした講演会が6日、奥州市文化会館(Zホール)で開かれる。ILC整備に関連し、都市計画や経済学の視点による具体的な講演を実施するのは初めて。国内有力候補地・北上高地がある同市内の商工業関係者は関心を高めているが、もう一つの国内候補地、北九州地方の脊振山地がある福岡、佐賀両県の関係者も聴講に訪れることが、2日分かった。ライバル地の関係者も注目するこの講演は、市民生活やまちづくりとも関係する内容のため、一般市民の来場を広く呼び掛けている。
北上高地のライバル地、九州の関係者も来訪へ
ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊氏が会長を務める社団法人国際経済政策調査会(東京)が主催。(株)野村アグリプランニング&アドバイザリーコンサルティング部長の石井良一氏と、野村総合研究所・経営革新コンサルティング部上席コンサルタントの北村倫夫氏を講師に招く。
同調査会をはじめ、ILCに関連した講演会はこれまでも何度か開催。第一線の研究者による解説で、ILCの概要については一定の理解は得られた。
学術的な期待の一方で、地域経済への波及効果についても経済界を中心に期待が高まっている。そこで今回は、ILC関連の講演会としては初めて、都市整備や経済面にテーマを絞った内容とした。
講師の石井氏は都市計画、北村氏は経済・産業政策の専門家。国内外の大規模地域開発計画の策定や研究都市形成の調査に従事するなど、経験豊富な面々。同調査会の佐賀保理事は「市や県などがILCに関連する調査・整備予算を議会に提案する上でも、こうした専門家の話を行政側が聞いておけば、具体的で説得力がある説明ができるだろう。一般市民の皆さんにとっても、ILC誘致が実現した際の地域の姿がより想像しやすくなるのではないか」と話す。
市内の商工業関係者が強い関心を寄せる同講演会だが、当日は福岡県や佐賀県の職員と九州経済連合会の関係者ら数人が聴講に訪れることが、関係者の取材で分かった。
両県には、北上高地と同様に国内候補地となっている脊振山地がある。有識者を招いた勉強会を開催しているほか、佐賀県の古川康知事はスイスの素粒子研究施設「CERN」を視察している。
佐賀県統括本部政策監グループの担当者は「客観的にみると、当地域ではILCのことがまだ十分に周知されていないように感じる。他の候補地でどのような活動をしているのか情報収集する機会にしたい」と話している。
北上高地へのILC誘致実現に力を注ぐ奥州商工会議所の菅原新治事務局長は「ILC構想は夢に終わらせたくない、希望がある話。多くの人々が集い、(研究者が)定住もするという点で、地域経済に大きな効果がある。民間調査団体の主催ではあるが、官民一体となって盛り上げていく必要があるだろう」と主張している。