火星圏への旅 準備進む(MMX計画、水沢の研究者たちも参加)
ILC実現へ民間組織発足、奥州市内産業界や有識者が連携
北上高地(北上山地)が有力候補地となっている素粒子物理学研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の実現に向け、16日、奥州市民や産業界レベルで科学的な風土醸成を目指す民間組織「いわてILC加速器科学推進会議」(亀卦川富夫代表幹事)が発足した。候補地として、より市民に身近な部分でILCへの関心を高めるため、行政や既存の各種公的団体、NPO法人などと連携。教育や産業、都市形成などILCに関連するあらゆる分野の事柄について、調査研究や啓発事業を展開する。発足時点では市内の有識者や企業関係者を中心としたメンバー構成だが、今後、広く会員を募り事業・活動を拡充していく。
ILCは宇宙誕生のなぞや物質構造の解明などを目的に整備される大規模な研究施設。世界に1カ所だけ設置する計画で、具体化に動き始めている。国内外にいくつかの候補地があり、その一つに北上高地の地下が含まれている。
ILC整備は、学術的な研究が進むばかりでなく、学術研究都市形成という地域振興面の展望も開くことになる。地域経済界を中心に「これまでにない形の地域振興が図れるのでは」との期待が高まっている。
ILCが本県に誕生する可能性があることを踏まえ、地域全体で機運を盛り上げる必要がある。しかし、これまではILCを名称に掲げた地域民間組織はなかった。
そこで、前県議の亀卦川代表やNPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長(国立天文台名誉教授)が世話人となり、同推進会議の設立準備を進めてきた。
同推進会議は▽施設立地を視野に入れた地域づくり▽住民の科学に対する理解度を高める取り組み――を展開する。行政や教育機関、公的団体、地域住民との連携を強化し、各種普及事業の実施や提言活動を進める。具体的な事業、予算は年度内にまとめる予定。現時点では、小中学校などでの理科に関する出前授業や講演会の実施、研究者と地元企業との交流事業などを考えている。
同日、水沢区の奥州宇宙遊学館で開かれた設立総会には、趣旨に賛同した市内の事業主や有識者ら20人が出席。会則や役員などを決めた。同遊学館を事務所としている同実践センターが事務局を務める。
活動資金となる年会費は1口企業1万円、個人2000円。総会では、将来を担う学生たちにも「積極的に活動に参加してもらう必要がある」との指摘があり、学生会費500円を設定。幅広い層で組織を構成し、ILCの実現や科学的風土の醸成を推進していくことを確認した。
同日の設立時点では、会員は市内関係者のみとなっているが、亀卦川代表は「今後、市外の関係者にも声を掛け、幅広く会員を募っていきたい。幸いにして奥州には国立天文台や宇宙遊学館といった科学的資源や素地がある。それらをうまく活用できれば」と話している。