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設計書作成へ情報収集(ILC国際設計チームが江刺や一関の山地視察)

設計書作成へ情報収集(ILC国際設計チームが江刺や一関の山地視察)
一関市や江刺区の山中の地下から採取した岩盤のサンプルを見るGDEメンバー

 北上高地(北上山地)が有力候補地の一つに挙げられている、素粒子物理学研究施設・国際リニアコライダー(ILC)計画の推進に関連し、ILCの国際共同設計チーム(GDE=Global Design Effort)が18日、一関市や奥州市江刺区の山間部を視察。ILC建設時の工法を検討する上でのさまざまな情報を仕入れた。建設地を絞り込むことを目的とした視察ではないが、関係者は「ILC建設にふさわしい場所の一つだ」と話していた。

「ふさわしい場所の一つ」

 視察に訪れたのは、GDE責任者で米国カリフォルニア工科大学のバリー・バリッシュ教授ら、GDEメンバーの国内外の研究者5人。東北大学大学院理学研究科の山本均教授や高エネルギー加速器研究機構(KEK)、岩手県政策地域部職員7人が同行した。
 GDEは、本年末に完成予定の技術設計報告書(TDR=Technical Design Report)をまとめ上げるための研究者組織で、2005年に結成。KEKによると、TDRは、研究・実験に必要な性能を出すために、どのような設備や施設が必要か――など、ILC建設に必要な情報をすべて網羅した内容になるという。
 このため、今回の視察は建設予定地を絞り込むのが目的ではないが、北上高地のような山岳地帯でもILCが整備可能かどうかを検証する意味合いはある。
 この日訪れたGDEメンバーは、国内でもう一つの有力候補地となっている九州の脊振山地を17日に視察したばかり。このような有力地の視察は、海外にある他の候補地においても行っている。
 岩手県と東北大が連携して実施した地質調査地域など約10カ所を視察。調査時に採取した岩盤サンプルも見ながら、地盤の状態を確かめた。
 バリッシュ教授は「九州もここ(北上高地)もILCに十分使える場所だと思う。周囲の美しい景色も印象的だ。TDRを作成する上で有用情報を得られた。ILCは数十年にわたり世界の中心的な研究施設となるだろう」と述べた。
 さらにバリッシュ教授は、ILC実現に至る上での重要なポイントとして「地域の人たちの熱意など、受け入れる側の姿勢も大きな鍵。研究者の家族のための環境整備などもその中に含まれてくるだろう」と話していた。