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ILC計画実現へ取り組み継続(岩手県推進本部)
岩手県ILC推進本部の本年度2回目会議が4日、県庁で開かれ、本部長の達増拓也知事はILC(国際リニアコライダー)の国内誘致を進める素粒子物理学者らの取り組みを引き続き支援する考えをあらためて強調。県は新年度も、誘致実現に向けた国への働き掛けのほか、県が策定した「ILCによる地域振興ビジョン」に基づいた事業などを継続させる考えだ。
会議には達増知事ら県幹部、県ILC推進局の職員ら24人が出席。ILC計画に係る国内外の動向や、関係する本年度の県事業について同推進局の担当者が説明した。
県は本年度もILC実現に向け、政府関係者への働き掛けを実施。全国知事会による国への要望にも、初めてILCが具体的に盛り込まれた。講演会やイベント、企画展など県内外に向けた理解増進事業も展開した。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、中止や延期、オンライン対応を余儀なくされた事業も少なくない。
施設の安全管理などについて研究者が説明する「ILC解説セミナー」は昨年12月26日に奥州、一関の2市で開催した。奥州市での開催は、同市ILC推進協議会からの依頼を受けたもので27人が参加。新型コロナ感染防止を理由に、一般市民への参加呼び掛けは行わず、同協議会に加盟する団体等の関係者に限定した。
同推進局によると、解説セミナーは産学官で構成する「東北ILC事業推進センター」が研究者側と連携し開催。同センターが自発的に開催する例と、地域の団体等からの要請を受けて開催する例があり、奥州市でのセミナーは後者に当たるという。
会議では、文部科学省ILC有識者会議の動向についても報告された。有識者会議ではILCの学術的意義や社会貢献度の大きさを重要視する意見もあった一方、各国の厳しい財政事情などを踏まえ、素粒子物理学者らが提案していた準備研究所の設置には慎重論も根強かった。会議の成果物として近く完成させる「議論のまとめ」の案文には、現状のILC計画の進め方を再検討するような提言も盛り込まれている。
新年度の取り組みについては、非公開で協議。会議後、取材に応じた同推進局によると、引き続き政府主導の国際的な議論を続けるよう国に働き掛けるほか、県のILC地域振興ビジョンに基づき、加速器産業集積に向けた活動を進めていく方針が確認された。