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ILC計画 研究者の国際推進チーム、活動1年間延長
北上山地が有力候補地とされている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を目指している素粒子物理学研究者らの組織は、「国際推進チーム(IDT=International Development Team)」の活動を1年間延長する見直しを図った。IDTは本年度中にもILC準備研究所(プレラボ)の設置に向けた事前準備を進めてきたが、文部科学省ILC有識者会議はプレラボ設置を「時期尚早」と指摘。研究者らは、IDTの体制を維持したまま利害関係者の支持拡大を図る。
今回の修正は、このほど開かれた国際将来加速器委員会(ICFA)で協議され、今月10日付でICFAが公式ホームページ(HP)で明らかにした。
ICFAは素粒子物理実験を行っている世界の主要加速器研究所の代表らで構成する国際組織で、一昨年8月にプレラボ設置を見据えてIDTを立ち上げ。昨年6月にはプレラボ提案書を公表した。政府等の理解を得て、早ければ本年度中にもプレラボを開設し、ILC建設への大きな弾みにする――という趣旨のシナリオを描いていた。
しかし文科省の有識者会議は、研究意義は認めるものの、IDTが示した提案に基づくような形でのプレラボ設置は「時期尚早」と結論。ILC計画のみならず、素粒子物理学や加速器科学全体の将来像、研究開発戦略を再構築する時期に来ていると指摘した。
有識者会議の結論を受け、ICFAは当初1年から1年半程度としていたIDTの活動期間を延長。「研究機関や研究室間の国際的な連携をさらに強化し、日本におけるILC実現に向けた幅広い支持拡大のため活動していく」とした。