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現状「非常に厳しい」(ILC計画巡り岩手県立大の鈴木学長)

現状「非常に厳しい」(ILC計画巡り岩手県立大の鈴木学長)
鈴木厚人・県立大学長

 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を目指す、東北ILC推進協議会の総会は8日、仙台市内で開かれた。総会席上、東北ILC事業推進センター代表を務める岩手県立大学の鈴木厚人学長は、「現状は非常に厳しい」と危機感を示した。研究者側は国際議論の場を構築するため、体制を整え直して取り組みを進めており、同推進協は研究者の取り組みを支援する。
 総会では本年度事業計画などを原案通り可決した。議事後、同推進協役員を務める候補地周辺地域の首長らが誘致実現に向けて決意表明。奥州市の倉成淳市長は「奥州は科学を大切にするまち。市の中期計画でも戦略的プロジェクトとしてILCをうたっており、力強く推進するつもりだ」と述べた。
 鈴木学長は険しい表情で登壇。「海外では日本のILCは当てにならないという雰囲気にある」と危機感をあらわにした。岩手県ILC推進協の谷村邦久会長は「『今年1年が勝負』という言葉を何度言ってきたことか」と切り出し、「今度こそ、この機会を逃せば世界中の科学者からそっぽを向かれる。一丸となって頑張っていこう」と、関係者らを鼓舞するように呼び掛けた。
 総会では役員改選も行われ、共同代表を務めていた東北経済連合会(東経連)名誉会長の高橋宏明氏の後任に、東経連会長で東北電力代表取締役会長の増子次郎氏が就任した。
 総会後はILCを推進する研究者らで組織するILC-Jpana代表で、東京大学の浅井祥仁教授が「ILC日本誘致への取り組みについて」と題し講演した。