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ブラックホールの活動期捉える
学術会議 一連の評価手続き「あれは余分だった」(国会ILC議連の塩谷会長)
超党派国会議員で組織するリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟(通称・ILC議連)の塩谷立会長(衆院比例東海、自民)は8日、一関市内で開かれたILC実現建設地域期成同盟会設立総会に出席。来賓祝辞の中で、日本学術会議が4年前に実施したILC計画に対する一連の評価手続きについて「あれは余分だった」と持論を述べた。
塩谷氏が指摘したのは、文部科学省が2020(令和2)年度に策定した「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ」に、ILC計画を搭載させるため実施した一連の手続き。文科省は当時、ILCを誘致するにはロードマップに位置付けられるなどの「正式な学術プロセス」を経る必要があると強調していた。
ロードマップに搭載されるには、学術会議が策定する「学術の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープラン」で、重点大型研究計画に選ばれるか、ヒアリング(聞き取り)審査対象となるのが条件。ILC計画はヒアリング審査対象になり、同計画を推進している高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、2020年2月末にロードマップ審査の申請書類を提出した。
しかし、「国際協力体制が審査申請時より大きく進展したため」などの理由で自主的に取り下げた。この対応を巡っては、KEKが5カ月以上、地元誘致関係者に事実関係を伝えていなかった。
期成同盟会の祝辞で塩谷氏は「文科省にもそれなりに協力してもらっているが、官邸に持ち込んでしっかり進めていくのがいいのでは」と、文科省の枠組みを超え、省庁横断的に取り組む体制の必要性に言及した。
塩谷氏はこのほか「巨額の費用分担の在り方が大きな壁になっているのは事実。さらにここ3年、新型コロナウイルスの影響で、世界的な活動が難しくなっている上、各国が大型計画を抱え予算的に厳しいという状況もある。もう一度体制を立て直そうというのがここ最近の状況だ」と説明。「ILCの学術的意義は認められており、どういう手順で進めるかという段階になっている。誘致予定地域の皆さんが集まり、期成同盟会をつくってもらったのは大きな力になる。共にILC実現に向けて頑張っていきたい」と力を込めた。
(児玉直人)