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顕微鏡のぞき 気分は牧野博士!?(天文台水沢で「銀河フェスタ」)

顕微鏡のぞき 気分は牧野博士!?(天文台水沢で「銀河フェスタ」)
顕微鏡を使って土中の微生物を観察する子どもたち

 4年ぶりの通常開催となる「いわて銀河フェスタ2023」が26日、水沢星ガ丘町の国立天文台水沢キャンパスで開かれた。身近な植物や生き物の不思議を感じながら、はるか遠くの宇宙空間に至るまで、来場した市民は自然科学の魅力を満喫した。植物や小さな生き物を顕微鏡で見るコーナーは子どもたちに人気。テレビドラマ主人公のモデルとして知られる植物学者・牧野富太郎博士の世界観に触れていた。
(児玉直人)

身近な生物から宇宙へ

 水沢キャンパスの一般公開も兼ねたイベント。新型コロナウイルスの影響で中止や分散開催が昨年まで続いたが、今回は4年ぶりに展示や講演などをメインとした昼の部、星空観望をメインとした夜の部を実施する通常開催に戻した。
 水沢キャンパスに拠点を置く、同天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長、RISE月惑星探査プロジェクトの竝木則行プロジェクト長がそれぞれ講演。本間所長は地球外知的生命の探査、いわゆる「宇宙人探し」について解説した。
 奥州宇宙遊学館前に設けられた「サイエンス屋台」では、植物や微生物、雪の結晶など身近な自然の不思議に触れてもらった。植物の組織や微生物の観察には、閉校した市内の学校で使っていた顕微鏡を活用。子どもたちは、土の中で暮らすダニやトビムシなど小さな生き物の姿に驚きながらも、興味深く見入った。
 担当した元県立水沢高校副校長の山口成美さん(72)=金ケ崎町西根辻岡=は、「ダニと聞くと敬遠する人も多いが、人体に影響を与えるものはわずか。多くは落ち葉を分解するなど、自然界を支える重要な存在。今、朝ドラで植物学の牧野博士が話題になっているが、地球上にはそれぞれ必要な役割を持つ植物や生き物がいて、自然が成り立っていることを感じてもらえたら」と話していた。
 敷地内では、ブラックホール研究に携わる研究者が、電波望遠鏡を動かしながら観察や研究の仕組みを解説。天文学専用スーパーコンピューター「アテルイⅡ」も公開された。
 宇宙やブラックホールに興味があるという奥州市立常盤小学校1年の佐藤悠人君(7)は、ブラックホール研究に励む本間所長と会うことができたといい、「うれしかった。夏休みの工作で、ブラックホールをイメージした貯金箱も作ったよ」と笑顔。北上市立黒沢尻西小学校4年の伊藤新君(9)は「ペットボトルロケットを一番遠くまで飛ばせて楽しかった」と話していた。
 同フェスタ実行委員会の構成団体の一つ、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長は「身近な自然を知ることは、壮大な宇宙の世界や地球環境の在り方を考える上でも大切。とても有意義なイベントになった」と声を弾ませていた。