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ブラックホールの活動期捉える
天文台支援の意向の有無問う声も(県南広域振興圏地域協働懇談会)
岩手県の県南広域振興局(小島純局長)は2024(令和6)年度、人口の社会減対策とデジタル技術を活用してさまざまな変革を推進する「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」を重点的取り組みに位置付ける。本年度第2回県南広域振興圏地域協働懇談会が28日、水沢大手町の奥州地区合同庁舎分庁舎で開かれ、各分野の有識者である委員に方針が示された。
(児玉直人)
県の総合計画「いわて県民計画」の地域計画に当たる「県南圏域地域振興プラン」では、産業集積や農林業、多様な地域資源を生かし、暮らしと産業が調和した地域づくりを目指している。
都市部への人口流出によって引き起こされる人口の社会減。移住・定住の促進で社会減に歯止めをかけるため、移住希望者向けのセミナー開催や新規就農者の確保などを進める。DXに関しては、各産業におけるデジタル技術の導入支援や普及、DX人材の育成や確保、生産性向上に向けた取り組みなどを実施する。
懇談会には委員12人のうち7人が出席。重点的取り組みに関連し、観光客誘致や雇用環境、地域の特色を生かした行政施策など、多種多様な質問や意見が出された。
県社会福祉士会理事の小笠原隆氏=一関市=は、女性の社会進出が進む一方で病児保育や病後児保育の体制が十分でないと指摘。「子どもの具合が悪くなると、学校などから『迎えに来てほしい』とすぐに連絡が来る。しかし、核家族が多い現状では母親が仕事を休んで対応しなければならず、ひいては賃金などに響く」と述べ、実態を調査し対策を講じるよう求めた。
(株)エーデルワイン総務部長の高見章子氏=花巻市=は「DXの概念がきちんと理解されておらず、言葉だけが独り歩きしている。デジタル機器を導入するだけのことではないはず」と述べ、用語や考え方も含めしっかり周知し、浸透させるべきだと訴えた。
このほか、(株)阿部製作所の阿部紀子専務=北上市=は、国立天文台水沢VLBI観測所が他地域にはない大きな魅力だとした一方、若手研究者が不安定な有期雇用状態にさらされる「ポスドク問題」に直面していると懸念。「県は国際リニアコライダー(ILC)のことはよく取り上げているが、天文台に対して何か支援する意向はないのか」と質問した。県南局の担当者は「ILC出前授業の際、一緒に参加して側面的なお手伝いをしてもらっている程度で、直接的なかかわりはない」と現状を伝えた。
小島局長は「制度的な理由で県南局だけでは解決できない問題もあるが、いただいた意見や提言は本庁とも情報共有していきたい」と述べた。