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「ホスト予定なし」国は明確な表明を(ILC巡り反対団体)
素粒子物理学者や県などが推進している大型実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致に反対している市民団体「ILC誘致を考える会」(千坂げんぽう代表)はこのほど、文部科学大臣宛てで、ILC設置のホスト国(受け入れ国)になる予定がない旨を明確に表明するよう求める陳情書を提出した。
一関市に拠点を置く同会は、2017(平成29)年7月に発足。施設の安全性や自然環境への影響、メリットが独り歩きしている誘致運動の在り方などに疑問を呈してきた。特にも小中高生を巻き込んだ誘致活動を問題視。同様の指摘は、2022(令和4)年に文科省のILC有識者会議が公表した「議論のまとめ」にも記載されている。
同会はこれまでの経過や現状を踏まえ、同省に対し明確にILCを日本に受け入れる考えはないことを表明するよう求めた。
ILC計画を巡っては昨今、国内外動向に変化が見られ、ILCのような線形加速器を欧州に建設する可能性も示唆されている。推進派の一人、岩手県立大学の鈴木厚人学長は今年1月の本紙の単独取材に対し、欧州次期素粒子物理戦略の意見書提出期限である今月31日まで、日本政府がILC誘致に対する前向きな意思表明がなかった場合、「(日本誘致は)完全にアウト」との見解を示している。
一方で本県の自治体などは誘致推進の旗を掲げ続けており、県や奥州市などの新年度予算や人事にも反映されている。今月10日には、倉成淳奥州市長や佐藤善仁一関市長らが共同代表を務める「ILC実現建設地域期成同盟会」の代表副代表会議があり、新年度事業の内容を協議している。