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歴史的意義伝える旧緯度観測所、米・ユカイア市長が手紙

緯度観測所の文化財的価値を力説(ガイドの蜂須賀さん、水沢で解説会)

緯度観測所の文化財的価値を力説(ガイドの蜂須賀さん、水沢で解説会)
緯度観測所の歴史について解説する蜂須賀一也さん(右)

 旧水沢緯度観測所の歴史的価値を知ってもらう解説イベントが8日夜、水沢袋町の多国籍料理店「らいおん食堂」で開かれた。緯度観測所時代の歴史的な建物のガイドツアーをボランティアで行っている蜂須賀一也さん(53)=国立天文台水沢VLBI観測所特定技術職員=が、世界に点在する緯度観測所を紹介。歴史的価値を広く市民に伝えた。
 蜂須賀さんは電波望遠鏡の運用業務に従事する一方、3年ほど前から国の登録有形文化財になっている木村栄記念館(臨時緯度観測所本館)や眼視天頂儀室など、敷地内の歴史的建造物の管理も担当。次第に、これら文化財の持つ価値や継承する意義の重要性を認識するようになったという。昨夏から敷地内の奥州宇宙遊学館と連携し、仕事が休みの日を利用してガイドツアーを実施している。
 イベント会場となった同店は、天文学や地域史関連の解説会を何度か開催している実績がある。緯度観測所が世界に点在し、一部施設は現存していることを知らない市民も多いため、その意義や価値を広く知ってもらおうと企画した。
 蜂須賀さんは海外に設置された観測所の様子を紹介。水沢が中央局としてデータのとりまとめなど重要な役割を果たしてきたと説明した。
 「二度の世界大戦で一部観測所は閉鎖や休止を余儀なくされたが、水沢やアメリカのユカイアは休まず観測を続けてきた。その当時の建物が現存している。このような研究プロジェクトの歴史遺産は世界に類がない」と強調。個人的見解としながら、世界遺産に匹敵するくらいの価値やストーリーがあるとも語った。
 イベントには女性客を中心に20人余りが参加。「なぜ戦争中に水沢の施設が破壊されたり、研究を中断させられなかったのか」など素朴な質問も寄せられた。
 蜂須賀さんは「観測所は見学自由だが、まだ行ったことがないという市民も多い。敷地内を散歩するぐらいの気軽さで来てもらい、だんだんと歴史や研究の内容などについて興味をもってくれたら」と話していた。