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日本の未来 ILCで開いて(素粒子物理学者の村山斉氏)
北上山地が有力候補地とされている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致を目指している岩手県ILC推進協議会(会長=谷村邦久・県商工会議所連合会長)は8日、盛岡市内のホテルで公開講演会を開いた。ILC推進派の素粒子物理学者、村山斉氏(米国カリフォルニア大学バークレー校教授)らが登壇。村山氏は「未来を切り開いていける国になるためにも、ぜひILCを日本でやりたい」と述べた。
(児玉直人)
盛岡市内で講演
村山氏によると、世界の素粒子物理学者の間では、電子と陽電子を衝突させる加速器実験施設の建設は「とても大事になる」との考えでほぼ一致している。一方、中国も同様の大型円形加速器を自国に建設する計画を独自に打ち出している。しかし、今年策定された中国の科学プロジェクト計画に選定されず、少なくとも5年は“待ち状態”になるという。
村山氏は「日本の立場としては国際合意をしてから、どこにILCを造るか決めようと提案してきた。現在、欧州が将来計画の話し合いを行っている段階なので、そちらが片付かないうちは『みんなでやろう』という話にはならない。この状況だとまだ何年か待つことになる。もどかしいところだ」との見方を示した。
その上で、「このような状況であっても私は日本にILCを造りたい」と主張。「資源が乏しい日本なのに世界的企業がいっぱいあるのは、頭脳で成功したからだ。だが、現在の日本はGDP(国内総生産)の0.5%程度しか科学技術に投資していない。韓国の半分程度で、残念ながら科学技術の将来に投資しない国になった。日本の将来のための投資をちゃんとやり、その中にILCを位置付けていけば、絶対に実現できると思う」と持論を展開した。
同日は前県知事の増田寛也氏も登壇し、ILC誘致の国内経過を振り返った。日本学術会議や文部科学省ILC有識者会議において「時期尚早」と判断されたことに触れ、「そんなものを乗り越えて、ぜひ前に進めていってほしい」と述べた。ILCのような巨大プロジェクト実現には▽しっかりとした戦略・戦術を立てる▽立地地域の情熱▽学術・産業・地域それぞれの立場にとっての意味付けを大義という形で理解してもらう――の3点が必要だと指摘した。