TOPIC
新スパコン「アテルイ3」始動(国立天文台水沢)
学術、経済的価値を強調(盛岡でILC講演会)
岩手県国際リニアコライダー(ILC)推進協議会(谷村邦久会長)は1日、盛岡市盛岡駅前北通のホテルメトロポリタン盛岡ニューウイングでILCの最新の状況などに関する講演会「宇宙の謎への挑戦が創り出すもの」を開いた。カリフォルニア大バークレー校教授で東京大カプリ数物連携宇宙研究機構特別教授の村山斉氏、(株)グローバリゼーションリサーチインスチチュート代表取締役社長の内永ゆか子氏が登壇。素粒子物理学の発展への貢献や、地域産業への波及効果について、ILCの持つ可能性を強調した。
村上氏は「素粒子物理学の未来とILC」と題し、ILCと円形加速器の違い、国際的な加速器関連研究の現状などを解説した。
ヒッグス粒子やダークマターなどの物質を研究する素粒子物理学について説明し、「科学を研究していると、日頃の生活では考えられない新しい気づきがある」と意義を強調した。
特にも、宇宙の成り立ちを発端として「私たち人類は星のかけら」と定義し、「宇宙は私たちの故郷。地球を宇宙から見る視点も必要である」などと説いた。
内永氏は「ILCは岩手の文化や考え方、世界における位置付けを変える」と力説した。
新技術は開発されるものの、採算性を優先するためビジネス化に至らない「テクノロジーの死の谷」と呼ばれる現象を解説し、「採算を度外視し、人類最大のチャレンジを世界中の人とやるILCは、技術の死の谷に橋をかけることにもなる」と指摘した。
ILCが岩手にもたらす恩恵として演題にも掲げた「内なるグローバル化」を提示。「ILCにより、世界の中でグローバル化した岩手になるチャンスである」と力を込めた。
自治体や経済界、教育機関などから約480人が出席。谷村会長は講演会の冒頭で「中国の巨大加速器計画の急激な進展とそれをにらんだ欧州の動きが最大の脅威となっている。ILC日本誘致が正念場を迎えている。いま一度、精力的に国内外にPRしなければいけない」とILCの本県誘致に向け力を込めた。