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法政大など研究チーム、連星接近の仕組み解明(国立天文台水沢スパコン「アテルイ」を駆使)

法政大など研究チーム、連星接近の仕組み解明(国立天文台水沢スパコン「アテルイ」を駆使)
「アテルイⅢ」によって計算された連星周囲のガスの様子=(c)Matsumoto, Hotokezaka, Inayoshi 2026

 法政大学などの研究チームはこのほど、国立天文台水沢キャンパス=水沢星ガ丘町=に設置している天文学研究専用スーパーコンピューター(スパコン)「アテルイⅢ」と、1世代前の「アテルイⅡ」を駆使した研究成果を発表した。研究チームは、「連星」を構成する複数の星が、誕生から成長するまでの間、どのように近づくのかに注目。宇宙空間に存在する磁場が、星の接近を妨げるガスを外へと運び去る働きをしていることが分かった。この考え方は、巨大ブラックホール(BH)の合体過程にも応用できるといい、研究チームは「全く異なる天体現象を同じ物理の仕組みで理解できる可能性を切り開いた成果だ」と強調している。
(児玉直人)

BH合体にも関係か

 「双子星」とも呼ばれる連星は、複数の星がペアやグループを組んで仲良く回転している天体。「冬の大三角」を構成している、おおいぬ座の「シリウス」も連星の一つ。地球から遠く離れているため一つの星のように見えるが、実際は「シリウスA」「シリウスB」という二つの星が回転している。
 研究を行った法政大人間環境学部の松本倫明教授(57)=理論天文学=によると、連星は誕生した時点では100au(au=天文単位、1auは約1億4960万km)離れているが、成長するにつれ接近。シリウスの場合、最も近づいたときで8.2auになる。
 天文学の理論になぞると、誕生した星の周囲にあるガスの影響で、むしろ星と星とが離れてしまうと考えられていた。しかし実際に観測されている連星は近距離にあり、どのような仕組みで近づいているかは謎だった。
 そこで松本教授らは、連星の周囲に磁場の効果を取り入れるとどうなるか、アテルイⅡと後継機のアテルイⅢを使い数年がかりで大規模なシミュレーションを行った。
 その結果、磁場の効果によって接近を妨げる要素だったガスは外側へ運び去られ、星同士が近づいていくことが確認された。
 連星を対象にした研究だったが、この仕組みを応用すれば巨大BHの合体に至るまでの過程も説明できるという。
 研究チームが使用したアテルイⅡは、18(平成30)年6月から24(令和6)年8月まで稼働。後継機となるアテルイⅢは24年12月に運用を始めている。「今回はⅡで準備計算などを行い、Ⅲでシミュレーション画像を描く本番作業を行った。Ⅱに比べⅢの計算の速さをものすごく体感した。初代を含め、アテルイシリーズがなかったら私たちのような研究分野は非常に困っていただろう」と松本教授。スパコンを運用している国立天文台、受け入れ地の奥州市に感謝していた。
 研究成果は今年4月10日付の英国の天文学誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に掲載された。